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2021.01.19

乱高下するビットコイン、その本当の価値はどこに?

Photo by André François McKenzie on Unsplash

ここ数カ月、ビットコインは目立った値動きを見せた。2020年3月のパンデミック第1波のあいだは低調で、5000ドル未満で取引されていた。その後、秋から2021年にかけて急騰した。12月には、2017年のピーク時に迫る2万ドルに達し、その後3万ドルを超えて2021年1月には4万ドルを記録した。だがこのところ、4万ドルを超える最近の高値から、わずかに後退している。

ビットコインを評価する


こうした信じがたいほどのボラティリティは、ビットコインの価値を評価することがいかに難しいかを示している。この問題について考えるやり方はいくつかある。

再帰性


ビットコインの課題のひとつは、再帰性(reflexivity)と呼ばれる性質だ。通貨とはそもそも、誰もが欲しがるならば価値があり、誰も欲しがらないなら無価値なものだ。一般に、米ドルがジンバブエドルよりも、長期的投資の選択肢として優れている理由のひとつがここにある。どちらの通貨にも価値の裏付けがあるわけではないが、米ドルの人気は価値を高め、ジンバブエドルはそうではない。

このことは、ビットコインに問題を作り出す。恐怖と強欲のスパイラルに陥る可能性があるのだ。価格が上昇しているあいだは人気も高まるが、価格が下落し人気も下がるなら、状況はよくない。このように、価値の評価はきわめて循環的なのだ。

もちろん、株式においても市場の振り幅と感情は結びついている。しかし株式には、資産とキャッシュフローに由来する本質的な価値がある。ビットコインにはそれがないのだ。

リンディ効果


リンディ効果も、参考になる可能性がある。これはつまり、ビットコインが長期にわたって存続し、ハッキングされず、有用性を維持していれば、通貨としての信頼度も高まるというものだ。これは、ちょうど再帰性と同様に、なぜビットコインのボラティリティが高いかを示すものだ。人気があるならばそれが楽観主義の理由であり、人気が下がるならば悲観主義の理由になる。

また、ビットコインの供給は一定のルールにしたがって実施されるため、ほかの投資手段ほど、需要と供給の法則の影響を受けない。価格が上がったからといって、ビットコインを多く生産することはできないし、逆に下がったとしても、価格支持のために供給を絞ることはできない。

比較のため、例えば、現在高騰している特別買収目的会社(SPAC)を見てみよう。投資銀行は今何をしているだろう? 驚くにはあたらないが、何百というSPACをさらに生み出そうとしている。将来のどこかの時点で、これはSPACという投資手段にとって、まずい状況につながるだろう。

これと同じような力学は、ビットコインには作用しない。2017年の暴騰の際には、ほかの暗号通貨が雨後の筍のように新規仮想通貨公開(ICO)したが、このダイナミクスはやや性質が異なるものだ。また、2020-21年には、こうしたトレンドは同様の規模では見られなかった。主な理由は、ほとんどのICOが失敗に終わったことだ。
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翻訳=的場知之ガリレオ

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