コロナと女子と教育と。いま改めてジェンダーギャップを考える

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以下のグラフは、この事実にさらに深い視座を与えてくれる。PISAの数学テストの上位層のうち、さらに家庭の経済状況がその国の中でトップ25%の子どもたちと、ボトム25%の子どもたちの中で、数学のスコアにどれくらい男女差があるかを示したものである。

高所得層における数学スコアの男女格差が、OECD諸国の中で最も大きい。実はボトム25%にはそれほどの開きが見られず、語弊を恐れずに言うならば「“いいお家”の女性はガツガツ勉強しなくても良い」といった日本の伝統的な社会通念が、女子の学ぶことへのモチベーションに何らかの影響を与えている可能性がある。


出所:OECD “PISA2018(Volume ll):Where All Students Can Succeed” 

米国やインドなどで、女子学生で理数系に秀でることは即ち経済的に自立できるチャンスを掴むことであり、彼女たちがこぞってトップ大学の理数系を目指すのとは対照的な価値観が、日本には未だ存在していると言うことなのかもしれない。

教育を通じてジェンダーギャップを改善しようとする場合、単純に女子生徒にSTEM系の学部をすすめたり、数学に力を入れるよう促したりするだけでは、状況が改善しないかもしれないと筆者が考える所以である。

事実関係をまとめるだけで、今回は随分と長文になってしまった。上記のデータを踏まえると、教育の現場では何をすべきなのか。肝心の部分については続編に譲りたいと思う。次回コラム(1月28日公開)もお読みいただき、ぜひ読者の皆様と一緒に、具体的な打ち手について考えられれば幸いである。

連載:日本と世界の「教育のこれから」
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文=小林りん

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