公営住宅に「スマートホーム」が採用される大きなメリット

未来の住宅「スマートホーム」って?(Photo by Unsplash)


デジタル化により、従来の住宅所有モデルから低初期費用モデルへの移行を構想できるようになりました。低初期費用モデルでは、居住者が電力消費要件や装置性能などの特定のデータへのアクセスを事業者へ提供することと引き換えに、住宅所有にかかる初期費用を下げることができます。また、従来の賃貸モデルから、アズ・ア・サービスモデルへの移行も考えられます。

アズ・ア・サービスモデルは、住宅機関が、家賃、エネルギー消費、メンテナンス、インターネット、その他の経費を月額料金としてまとめ、家計のあらゆる側面を適切に管理します。このようなモデルの提供を通じて、利益率の向上と競争力の維持を望むサービス提供者は、意欲的に省コストを図ります。

省エネのコネクテッド家庭電化製品が普及するにつれ、ESCO事業者には住戸レベルでの省エネルギーの実現と収益化が実現可能になります。助成金を受けた供給住宅では、ESCO事業者が政府保証による追加の収入も別途受けられる場合があります。

これにより、低所得世帯は、省エネ高機能製品への高額な初期投資を、時間の経過とともに製品コストを分散させる利用料の支払いによって回避することができ、老朽化した性能の悪い家電製品の廃棄を加速することにもつながります。

「つながっている」未来を創造する


適正なデータ基盤が整備されていなければ、公営住宅部門におけるスマートホームのメリットは実現しません。2018年以降、住宅協会チャリタブルトラスト(HACT)と不動産オープン標準協会(OSCRE)は、70を超える公営住宅機関と協力し、英国住宅データ基準(UKHDS)を策定しています。

同標準の最新版(第3.3版)には、主要顧客データ、顧客要請対応型の修理、資産管理、ケアとサポート、家賃・サービス料回収、開発の引き継ぎなどの、ユースケースのデータ基準が記載されています。最新のユースケースは、居住者からのフィードバックと苦情処理に焦点が当てられる予定です。

テクノロジーが、社会的、経済的、環境的な持続可能性の実現を牽引する、相互接続された未来の世界の「共有現実」の構築に向けて、今こそ私たちは世界規模で協力し、相互接続のメリットを活用すべきです。


(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
過去記事はこちら>>

文=Fanyu Lin, CEO, Fluxus LLC;Andrew van Doorn, Chief Executive, HACT

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事