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2021.01.18

シャンパン農園に新たな頭痛の種 羊泥棒現れる

George Rose/Getty Images

昨年はシャンパン業界にとっていろいろな意味で厳しい年だった。まず、新型コロナウイルスの流行により祝い事がなくなったことで、シャンパンの売り上げが70%も減少し、約1億本もの売れ残りが出た。さらに、米国が2019年10月に導入した追加関税により、同国でのシャンパン価格はつりあがった。

そんな中、シャンパンを生産する仏シャンパーニュ地方で新たな脅威が現れた。それは、ブドウ畑での羊盗難だ。フランスでは、農薬を使わず環境に優しい農法として羊を活用する農家が増えている。羊はブドウ畑で花や雑草を食べるため、草刈り機や農薬が必要なくなるのだ。

地元紙ルニヨンによれば、モエ・エ・シャンドンが完全無農薬化を目指し巨額を投じて設立したエコ農園で今月、羊14頭とソーラーパネル1台が盗まれる事件があった。ソーラーパネルは、羊の電気柵への電気供給に使用していたものだ。

英業界誌ドリンクス・ビジネスによると、モエは持続可能なブドウ栽培に関する科学研究に特化した研究センターに2000万ユーロ(約25億円)を投資しており、エコ農園はその取り組みの一環だ。

英国のナイティンバーや、ニュージーランド・マールボロのイーランズ・ワインなども、持続可能な農法として羊を活用。イーランズ・ワインでは、低い位置に実ったブドウを羊が食べないよう、ベビードールと呼ばれる小型の羊を使用している。

ニュージーランド産ワインの約75%を生産するマールボロでの羊の活用効果を分析した2018年の調査では、対象となった農家の100%が草刈りの必要性が減ったと報告した。これにより草刈りをする回数は年間で平均2.2回減少し、節約額は1ヘクタール当たり64ドル(約6600円)だった。また除草剤の散布は平均で年1.3回減少し、ヘクタール当たりの節約額は56ドル(約5800円)になった。

編集=遠藤宗生

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