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5G×メディア×スポーツの未来

神田勘太朗 DリーグCOO (C) SPREAD

スポーツリーグをゼロから立ち上げる──。それは、ほぼ誰も成し遂げた前例のない事業だ。

世界初そして日本発のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE」が1月10日、いよいよスタートした。その立役者がカリスマ・カンタローこと、神田勘太朗DリーグCOOだ。

絶えない小競り合い 日本スポーツ界プロリーグ化の裏事情


日本スポーツ界は、日本の病巣の縮図そのものでもある。

古くから存在するプロ野球は12球団の合議制。利益相反するチームの母体企業に意向が重きを占め「会議は踊るされど進まず」が日常だ。相撲協会も公益財団法人として公の手が入るまでは、暴力沙汰が日常茶飯事だったとしていい。

そのアンチテーゼとして立ち上がったのがJリーグだった。元日本代表・武田修宏さんが「サッカーでメシが喰えるとは思っていなかった」と吐露するように、日本サッカー界にもプロは存在しなかった。川淵三郎(現・日本トップリーグ連携機構代表理事会長)の手腕を持ってこれを成功へと導き、スポーツ界に「Jリーグ・モデル」という言葉さえ定着させた。ただし、実業団スポーツから脱皮するにあたり、読売クラブが母体だったヴェルディから、読売新聞が離脱。また、母体となった住友金属や三菱自工など企業間による派閥争いの過去など、決していさかいを生まなかったわけではない。

Jリーグを手本にプロ化を試みたのがバスケットボール。しかし、プロ化を目指したBJリーグと企業名を排除できないとしたJBLに分裂。どちらが日本バスケ界の主権を握るかの奇妙な争いが続き、結果、国際バスケットボール連盟から「国際大会排除」、つまり自国開催の東京五輪すら出場不可とする最終通告を受けた。黒船来航により切羽詰まり、ここでも川淵という切り札を投入。外圧と部外者の手により、やっとBリーグの誕生にこぎつけた。

順風満帆な船出を切ったと思われた卓球Tリーグは松下浩二チェアマンが退任。代わって日本卓球協会がその主導権を掌握する小さな内紛が見え隠れし、チェアマン不在のまま3度目のシーズンを迎えた。

こうした騒動がお家芸であるプロスポーツのどれもが、実業団などあらかじめ母体を持つスポーツだった。

「競技」としてはすでに完成しており、既得権を持つ「協会」を起点としていた。繰り返される小競り合いに、スポーツ界を長く眺める者にとってはウンザリするものの、母体抜きでプロリーグ化されたわけではない。

しかし、ダンスのプロリーグ化は白紙からのスタートだ。

そもそもダンスは魅せるものであり、競うものではなかった。そこにダンスバトルという概念を持ち込み、競技として成立させた。競技としてさえ成立していない白紙の状態からプロリーグ開幕までにこぎつけた。これは驚くべき事実であり、その中心人物は間違いなく神田勘太朗だ。

そもそもダンスはスポーツなのか。神田氏はこう応えた。

「ダンスはスポーツじゃない......それはそれぞれの主観でいいと考えています。『スポーツはこれ』と定義している人たちに、スポーツの新しい領域を見せるつもりです。『ブレイキン』は五輪に決まったからといってスポーツですか? その答えはこれから出てくるでしょう」と熱く語る。

文=松永裕司

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