5G×メディア×スポーツの未来


「ブレイキン」、馴染みの言葉で表せばブレイク・ダンスだ。2024年開催予定のパリ五輪から正式種目として採用が決定。五輪種目を「スポーツではない」と断罪するのであれば、何をもってスポーツと定義するか、説得力ある反論が必要だろう。

「ダンスで世界を獲れる」 そう信じて切り拓いてきた


神田氏はティーンの頃からダンスにのめり込み22歳の時、ダンスで生きて行こうと決めた。だが、ダンスを職業とする方法論がなかった。スタジオを開いてダンスを教える、もしくは芸能人になる……。当時、それ以外に手法はなかった。インストラクターでも芸能人でもない、ダンサーとして生きて行く方法はないか……。

ある日、テレビで総合格闘技K-1を見て「これだ!」と思った。格闘家がそのままの姿でリングにあがり、対戦すればコンテンツになる。ダンサーもステージで対戦すればいい。そこで「ダンスバトル」という発想が生まれた。


(C) SPREAD

まずは認知度、日本一のイベントを作る。それがいまや世界最大級となったダンスイベント「ダンスアライブシリーズ」だ。イベントは順調に成長し、両国国技館で開催されるに至った。しかし、決して順風満帆だったわけではない。「イベントのたび赤字、そこに協賛が決まるというまったくの自転車操業でここまで来ました」と胸襟を開くものの、悲壮感はまったくない。なぜか。

「ダンスは世界を獲れる……そう信じていたんです。世界を眺めても、誰も手を付けていない、マーケットが成立していない、音楽も、映像も、ファッションも内包している。さらに言葉がいらない。つまり世界で通用する。これだけ要素がそろっていて、世界を獲れないわけがない」と考えた。

神田氏にD.LEAGUE構想を打ち明けられたのは2019年の初頭。その企画書には「2020年プロ化」と記されていた。そこに新型コロナウイルス時代が到来し、頓挫したのではないかと思われた。しかし、世の中の暗さを吹き飛ばす勢いで昨年、立ち上げを発表した。

さらに緊急事態宣言および感染者続出でバスケのオールスターなどが軒並み中止となる2021年、完全無観客とし、1月10日に東京の有明アリーナを舞台に歴史的開幕にこぎつけた。

このスピード感は、神田氏の危機感に焚き付けられている。パリ五輪に向け金メダル候補を擁する日本ダンス界だが、中国が爆速で成長中なのだ。

「僕らはアメリカから吸収し、日本の地位を築き上げた。そしていま、アジア圏のダンサーは日本に来て学び、それぞれの国や地域に戻って実力をつけている。特に中国の勢いはすごい。少し前まで日本から『何年遅れ』だったはずが、ダンス動画番組を作り、例えば再生回数15億という数字を叩き出している。人気となった中国のダンサーが作るファッションや音楽がバカ売れ。そのうち『もう日本はいらない』となるだろう。日本が優位に立っているうちに手を打たなければならない。だから、日本国際ダンス連盟(FIDA JAPAN)も立ち上げたんです」。神田氏はFIDA JAPANの会長も兼務。プロリーグを立ち上げつつ、ダンスの国際連盟をも包括しようと奔走している。

文=松永裕司

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