コロナ禍のなかで、プラスチックの使用削減問題をどう考えるか

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現在の魚介類のプラスチック摂取状況では、摂取された微細なプラスチック片ごと人間が食べても、健康に影響は生じないレベルとされている。しかし大事なのは、今後の状況悪化をどのように食い止めるのかだ。

近年、プラスチックと環境をめぐる議論は、非常に白熱してきた。そのなかで、世界的な流れに遅れを取った発進ではあったが、日本でもレジ袋の有料化が始まった。スーパーやコンビニでもエコバッグの使用が一気に主流となったように見える。施策としても、プラスチックごみ問題に対し、抜群の広報力をも発揮したと言えるだろう。

同時に、現在も渦中にある新型コロナウイルス感染症では、マスクや防護服など、防疫や衛生対策の要として、多くのプラスチック製品が用いられていることも忘れてはならない。

例えば、多くの人が日常的に着用するマスクには、布マスクや不織布マスク、ウレタンマスクなど多様なものが市販されている。最近では、その素材による機能の違いが話題になった。咳やくしゃみによる飛沫の飛散を防止する蓋として、また飛沫の吸い込みを抑えるバリアとしての機能が、素材や製法によって異なるという。

なかでも高い飛散防止、バリア機能を持つ素材として、不織布が挙げられている。不織布は主に、ポリプロピレンなどのプラスチック繊維を絡めたりくっつけたりすることですき間の少ない布状に成形することでつくられる。これをフィルターとし、ウイルスや細菌の出入りを防止するのだ。

一般用の使い捨てマスクはもとより、医療用マスクとしても、この素材は現在のところ欠かせないものとなっている。これらの話題からも、プラスチックはただなくせばよいと言うことは、性急であることが窺われてくる。

コロナ禍の試練もまた、プラスチックと「どう付き合うのか」「本当に必要なもの(使い方)はどれか」という問いを、私たちに投げかけてきている。

連載:獣医師が考える「人間と動物のつながり」
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文=西岡真由美

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