しかし、すべてのカーメーカーは大幅な販売の減少に苦しんだのに、アメリカの販売トップ25台のうち、14台を占めたのはなんと日本車だった。面白いことに、その14台にランクインされたのは、トヨタ、日産、ホンダという日本のビッグ3のセダンとSUVだった。今回の記事の情報は、2021年1月6日発表のアメリカの有力誌「カー&ドライバー」の調べに基づく。
人気のある日本車に触れる前に、敬意を払ってアメリカで一番売れている3台を紹介しておこう。
やはり、アメリカ人の食生活にハンバーガーとステーキが欠かせないと同様に、アメリカ人の多くがとにかく乗りたがるジャンルはトラックやSUVだ。フォードのFシリーズはダントツNo.1であり、年間販売78万台以上とバカ受けしている。つまり、昨年に比べて12%ダウンながらも、1時間に87台も売れているという計算になる。毎分1.5台売れる超人気者だ。
その次は、コロナ禍に影響されながらも14%増で58万台も売れたシボレー・シルバラードと、11%減の(クライスラー製)ラム・ピックアップで56万台。
この3台を除けば、あとは日本車が4位から10位に5台、11位から25位までに9台が入っている。また、そのトップ25台にはトヨタが6台も入っており、他の日本メーカーはホンダ3台、日産2台、スバル2台、マツダ1台。
この結果を分析してわかるのは、アメリカ人は大型SUVとセダンの両方のジャンルを好むということ。日本では、ダントツでSUVなのに。
今でもよく覚えている。15年前にデトロイトで、カー&ドライバーの「年間10ベスト」試乗会に参加した時だ。アメリカでバカ売れしているシビック、アコード、カムリ、カローラみたいなセダンは日本では人気がなく、月々1000台程度しか売れていないと編集部員に言ったら、信じてくれなかった。「ピーター、日本に居過ぎたんじゃないの?ゼロが1つ少ないだろう」と半分笑われた。
当時アメリカでは日本のセダンが月々3万台ほど販売されていたから。そこで夕食会中に日本のホンダ広報に国際電話をして聞くと、やはり「先月シビックの販売台数は1100台です」と言う。それを編集部員たちに伝えたら、みんな目が点になっていた。その位、日本ではセダンの人気がない。
例えば、4位を獲得したトヨタRAV4は、昨年4%減ながら43万台も売れていて一番人気の日本車であり、6位はトヨタ・カムリ。29万台と昨年比13%減とはいえ、アメリカで最も売れたセダンとしてランクイン。
TOYOTA RAV4
トヨタ車で他にトップ25位に入ったのは大型SUVのタコーマ(10位)、セダンのカローラ(11位)、SUVのハイランダー(14位)、そしてSUVの4ランナー(25位)。
TOYOTA カムリ