米共和党への献金見直す企業の増加、民主党にも影響

Evelyn Hockstein/For The Washington Post via Getty Images

ドナルド・トランプ米大統領の支持者が1月6日、昨年行われた大統領選の投票結果を認定する手続きを阻止しようと議会議事堂に乱入した事件を受け、政治活動委員会(PAC)を通じた政治献金を見直す企業が急増している。

他社に先駆けて献金の一時停止を表明したのは、ホテル大手マリオット・インターナショナル、医療保険会社で構成されるブルークロス・ブルーシールド協会(BCBSA)、銀行持株会社のコマース・バンクシェアーズ。上下両院合同会議で民主党のジョー・バイデン候補を次期大統領と認定することに反対した共和党議員への献金を中断することを明らかにした。

その後、シティグループとJPモルガン・チェース・アンド・カンパニーが、共和・民主両党への献金を停止する考えを表明(シティは今四半期中、JPモルガンは向こう6カ月間)。さらに11日には、ほか十数社が結果の認定に反対した共和党議員への献金を数カ月、または無期限に停止すると発表した。

そうした企業の中には、アマゾンやエアビーアンドビー、アメリカン・エキスプレス、AT&T、ベストバイ、コムキャスト、ダウ・ジョーンズ、インテル、マスターカード、ベライゾンなどが含まれる。

また、アメリカン航空やボストン・サイエンティフィック、BP、コカ・コーラ、フェイスブック、ゴールドマン・サックス、ホールマーク、ヒルトンホテル、マイクロソフト、ビザは、共和・民主両党への献金をどちらも一時停止し、今後について見直しを行うことを明らかにしている。

期限を明確にせず、献金を一時停止する方針を示したバンク・オブ・アメリカとフォード・モーターは、今後の献金については今回の出来事を考慮した上で決定すると述べている。薬局チェーンのCVSヘルスと小売大手ターゲットやエクソンモービル、T-モバイル、フェデックス、デルタ航空も、献金について再検討を進めている。

献金の返還要求も


グリーティングカードなどを手掛けるホールマークは、認定に反対したジョシュ・ホーリー上院議員(共和党・ミズーリ州)とロジャー・マーシャル(共和党・カンザス州)に対し、過去の献金を返還するよう要請した。同社はフォーブスに対し、これは同議員らの今回の行動が、ホールマークの「価値観を反映したものではないためだ」と説明している。

また、BCBSAはニュースサイト「シンクプログレス(ThinkProgress)」の創設者ジャッド・レガムが発行するニュースレター、「ポピュラー・インフォメーション(Popular Information)」に対し、「価値観と目標を共有する人たちを確実に支援するため、政治献金については継続的に見直しを行っていく」と述べている。

大統領選の結果の認定に反対した議員への献金を取りやめるのは、彼らの行動は「米国の民主主義を弱体化させるもの」だと考えるためだという。

激高したトランプ大統領の支持者らが議会議事堂に乱入する事件が起きても、それでもバイデン勝利の認定に反対した共和党議員たちへの批判は高まりをみせている。結果認定への反対票を投じたホーリー議員らに対しては、ほかの上院議員や主要各紙から、辞任を求める声が上がっている。

記事=Jemima McEvoy and Andrew Solender 編集=木内涼子

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