事前リクエストで、屋内にキッズ用のテントを用意してもらった。中には塗り絵やお絵かき、クイズやシール貼り、迷路などができるセットが入っており、狭い所に潜り込みたがる子どもは早速その中に。「自分だけの城」で夢中になっているうちに、大人は窓際にしつらえたデイベッドで、ウェルカムフルーツの見事な苺やお茶を楽しみながら、ゆっくりと寛げるという寸法だ。
せっかくリゾートに来て、結局子どもの世話に追われて……というのは避けたい。一方で、大人だけの時間も楽しみたいが、子どもが過ごす時間の質も気になる。
そんな中で、ザ・リッツ・カールトンの最大の魅力、「人」の力でアクティブに楽しめるのが、ただの託児ではない「リッツ・キッズ」だ。今回お願いしたのは「宝探し」のプログラム。宝の地図をもらって、スタッフの方と一緒に広い館内で宝探しをする内容だ。
その間に楽しもうと考えていたのは、世界No.1バーテンダー、後閑信吾氏が監修したなカクテルが楽しめるホテル内のバーだったが、内心はドキドキだった。通い慣れた保育園の先生にも人見知りをすることがあるのに、初めて会うスタッフの方と1時間半も一緒に楽しめるものか。直前まで仏頂面で「僕も『バー』に行く」と言っていたはずが、ホスピタリティのプロの魔法は未就学児にも効くようで、楽しげに宝探しに出かけていった。
森の中で深呼吸するようなカクテルも
そうして大人だけで訪れた「The Bar」は、栃木食材を使った、材料もネーミングもユニークなオリジナルカクテルが揃う。名勝「華厳の滝」にインスパイアされた「華厳フォール」は、日本酒にシェリー酒、山椒を漬け込んだべルモット、檜のエッセンスを加え、重ねられた枡から流れ落ちる煙が、ちょうど幽玄な滝のイメージとも重なる、まろやかな味わいのカクテル。
個人的に特に気に入ったのは、「雨と苔のジンフィズ」。ゴボウを漬け込んだメスカルと、海藻のアオサを漬け込んだジンに、パチュリのエッセンスを香らせたもので、食前にもぴったりの、森の中で深呼吸しているような軽やかなカクテルだ。その他のカクテルも、世界のトップバーと比べても時差のない、かつ独創的なものが揃っていると感じた。
ノンアルコールカクテルのラインナップが充実しているのも嬉しい。保護者同伴なら未成年もバーに入ることができ、卓上型の小さなコンロで焼きマシュマロやホットチョコレートも楽しめる。