配信作品もオスカー候補に G・クルーニーの意欲作「ミッドナイト・スカイ」 

Netfrix映画『ミッドナイト・スカイ』独占配信中

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例年なら、各部門のノミネート作品が出揃い、アカデミー賞の話題で盛り上がる新しい年の始まり。しかし、今回はコロナ禍の影響で授賞式が2カ月ほど延期(現地時間4月25日)となったため、事前の下馬評もいつもよりは聞こえてこない。

ノミネート作品の発表は、授賞式の1カ月前の3月中旬に行われる予定だが、今回に限り、選考対象が配信作品にまで拡大(従来はロサンゼルス地区の劇場で1週間以上、1日3回以上上映された作品)。このところ評価の高まっているネットフリックス発の作品が、数多く選ばれるのではないかと囁かれている。

ネットフリックス作品としては、これまで2019年の第91回アカデミー賞で、アルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA/ローマ」が監督賞他3部門で受賞の栄誉に輝いたが、最重要賞である作品賞にはまだ手が届いていない。

コロナ禍により、劇場の閉鎖や新作の公開が延期されているなかで、ネットフリックスは、次々と意欲作を送り出している。今回のノミネートでも、「ザ・ファイブ・ブラッズ」(スパイク・リー監督)、「シカゴ7裁判」(アーロン・ソーキン監督)、「Mank/マンク」(デヴィッド・フィンチャー監督)などがノミネートでも有力視されており、本賞の作品賞も射程に入っている。

アカデミー主演男優賞を狙うクルーニー


ジョージ・クルーニーが監督、製作、主演まで手がける「ミッドナイト・スカイ」も、そんなネットフリックス発のアカデミー賞ノミネート候補作品のひとつだ。

舞台は2049年の近未来。何らかの原因で地球は汚染されてしまい、人類は滅亡の危機に瀕している。生き残った数少ない人間が地球からの脱出を図るなか、たった1人、北極にあるバーボー天文台に残ることを選択した科学者オーガスティン(ジョージ・クルーニー)。彼は、同じく天文台に取り残された1人の少女と出会う。

一方、人類が生存可能な木星の衛星、K-23の探索に出かけた宇宙船アイテル号は、望外の成果を遂げ地球への帰還の途にあった。しかし男性3人女性2人の乗組員たちは、原因もわからないまま連絡が途絶した地球の基地や他の宇宙船と必死に交信をしようとしていた。彼らには地球の状況がまったく伝わっていなかったのだ。

作品では、オーガスティンが残る北極と、サリー(フェリシティ・ジョーンズ)ほかの乗組員が乗船する宇宙船の様子が交互に描かれていく。ある理由があり、宇宙船との交信を果たそうとするオーガスティン。なんとか途絶えた交信を回復させようと試みる乗組員たち、互いの状況がスリリングに展開していく。

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オーガスティンはバーボー天文台よりさらに強力なアンテナを持つヘイゼン湖の測候所を目指して、少女とともに厳寒の氷原へとスノーモービルを走らせる。場所を変え、オーガスティンがようやく交信に成功したそのとき、宇宙船は隕石雨の直撃に遭い、通信システムを損傷してしまう。故障を直すためには、危険を伴う船外作業が必要だったが……。

「ミッドナイト・スカイ」の監督でもあるジョージ・クルーニーは当年59歳だが、作品のなかではおそらく10歳以上年上の、病に侵され余命幾許もない老科学者を演じている。

最初は彼だとは気づかなかったほど、容姿をつくり込み、この「老け役」をリアルに熱演している。かつてアメリカの「ピープル」誌で「最もセクシーな男性」に2度も選ばれた面影は、そこにはない。

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文=稲垣伸寿

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