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先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま

「SCENT BY GLADE(グレードの香り)」キャンペーン事例動画より

世界最高峰の広告およびマーケティング・コミュニケーションの祭典であるカンヌライオンズ。今回は、2019年の作品から、筆者のお気に入りの施策を紹介しよう。それはメディア部門でGoldを獲得した「Scent by Glade(グレードの香り)」。アメリカの家庭用洗剤メーカーであるSCジョンソンの芳香剤「Glade(グレード)」のためのコミュニケーション施策だ。

Eコマースの発達で、近年宅配便で荷物を受け取ることが劇的に増えている。その時、荷物に緩衝材(エアクッション)が一緒に梱包されていることも少なくない。緩衝材を処理する時には、面倒だなと思いつつ、1つ1つ潰さなければならない。退屈でありふれた時間だ。

「グレードの香り」という施策は、この時間を、ちょっとした芳しい体験に変化させる。緩衝材にはグレードという芳香剤のパッケージ写真が印刷されており、興味をそそる。潰してみると、いい香りがする。グレードという芳香剤がどのような香りなのかを、実際に体験できる機会が提供されるわけだ。

そして、スキャンするとそのままオンラインで買うことのできるコードも記されている。

ウォルマートともWin-Winの施策



「SCENT BY GLADE」

こうした「ちょっとしたアイデア」や「ちょっとした施策」は、面白い。有名なスポーツ選手を起用するわけでもなく、何千万円もかけて豪華なテレビCMをつくるわけでもなく、小粒とも見えかねない施策ながら、ピリリと効いている。

これはSCジョンソンが、ウォルマート(Walmart)のECサイトと組んで、行った事例だ。ウォルマートは全米最大のスーパーマーケットチェーンだが、ECサイトの台頭で苦戦を強いられていた。また、ウォルマートはグレードの主要な売り場でもある。

実は、グレードのような芳香剤も、Eコマースの時代には、「見込み顧客に実際の香りを体験してもらえない」という悩みを抱えていた。リアルな店舗であればサンプル用の商品を置いて嗅いでもらうことができるが、オンラインではそうもいかない。

写真と言葉でいくら香りの説明してみても、リアルな体験には劣る。またEコマースを多用する購買層には、マスメディアを通じた広告も届きにくい。

文=佐藤達郎

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