そこで考え出されたのが、前述のコミュニケーション施策だった。SCジョンソン側からすれば、見込み顧客に実際の香りを体験してもらえて、オンラインでの購買につなげることができる。ウォルマート側からしても、自分たちのECサイトの話題化や魅力化につながる。まさにWin-Winの施策だったわけだ。
結果としてソーシャルメディア上で大きな話題となり、グレードのウォールマートECサイト上での売上も、最初の1週間で83%も上昇したという。
三者面談の帰りに娘をカフェに誘う
さて、この事例から、われわれが学び得るものは何だろうか?
いくつかあると思うのだが、ここでは、「ふだん使われてないモノやコトを活用して、コミュニケーションを取りにくい相手と交流を図る」という点から考えてみたい。
コロナ禍でリモートワークが増え、部下とのコミュニケーション不足を感じている人も多いのではないだろうか? オンライン会議が多く、ネットを通して部下の顔は見かけるのだが、この時節、飲みに誘うわけにもいかない。
リアルな交流が極端に減るなかで、彼はきちんとやっているのだろうか、彼女は鬱々とした毎日を送ってはいないだろうか。そんな心配も頭をよぎる。
そんなとき、例えば1時間予定のオンライン会議があったら、50分で終了することにして、最後の10分間をざっくばらんな「トークタイム」にすると決めてみるのはどうだろうか?
このトークタイムでは、議題は決めず、何か気になっていることや気をつけていること、面白かったことなどについて、自由に語り合うこととする。司会進行は、上司であるあなたが行う。メンバーが数人であれば10分間でも、上手く廻せば全員に少しでも発言してもらえるだろう。
また、年頃の娘と会話する時間を、高校の三者面談の帰路に、カフェにでも誘ってみることでつくり出そうとしてみるのはどうだろうか。これは筆者自身の体験なのだが、オンラインでも可だったのだが、あえて高校まで出かけて行き面談をし、帰りにカフェで娘と2人で30分ほど話をした。すると勉強以外のことも語ってくれ、その場で父娘の仲は深まったと感じた。
オンライン会議も三者面談も、「やらなければならないだけのモノ」と捉えずに、ちょっとした施策を設ければ、思いがけない成果が得られるかもしれない。
連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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