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2021.01.15

次なる植物由来代替食品のターゲットは「エビ」

BURCU ATALAY TANKUT/Getty Images

エビは、米国で最も食されているシーフードだ。そしてこのたび、2人の女性が率いるスタートアップ「ニュー・ウェーブ・フーズ(New Wave Foods)」が新たな資金調達を受け、緑豆と海藻を使った植物由来代替エビの販売に乗り出そうとしている。

ニュー・ウェーブ・フーズは2021年1月6日、シリーズAラウンドで1800万ドルの資金を調達したと発表した。ラウンドを主導したのはニュー・エンタープライズ・アソシエーツとエボリューションVCパートナーズ(Evolution VC Partners)で、米食品大手タイソン・フーズのベンチャーキャピタル部門タイソン・ベンチャーズも参加した。タイソン・ベンチャーズが初めてニュー・ウェーブ・フーズに支援を行ったのは2019年だった。代替シーフード市場は注目を浴びているのだ。

ニュー・ウェーブ・フーズの最高経営責任者(CEO)マリー・マクガヴァン(Mary McGovern)は、「1800万ドルの資金調達は、私たちにとって大きな節目となった。私たちを駆り立てているのは、90億ドルの市場を創造的に破壊しようとする熱意だ」と語った。同社はまず外食業界を足掛かりとして、2021年中にカフェテリアやレストランで製品を展開していく予定だ。

植物由来ツナを製造するグッド・キャッチや、魚の細胞から人工肉を培養するフィンレス・フーズなどのスタートアップも最近、資金調達に成功しているが、ニュー・ウェーブは代替エビ専門企業としてトップに立つ。同社は当初からエビに焦点を絞ってきた。

ニュー・ウェーブの創業は2015年。ちょうど植物由来食品が主流の仲間入りを果たしつつある頃に、材料科学と医用生体工学を専門とするミシェル・ウルフ(Michelle Wolf)と、海洋学者のドミニク・バーンズ(Dominique Barnes)は出会った。シーフードのサプライチェーンが持続可能性の問題を抱えていることを知った2人は、それぞれの専門知識を合わせてシーフード市場に存在するギャップを活用し、ポジティブなインパクトを生み出すことを目指した。

「シーフード市場にギャップがあることが、この分野に参入した理由のひとつだった。植物由来肉のインポッシブル・フーズやビヨンド・ミートに対しては関心が集まっていたが、シーフードには誰も目をつけていなかったからだ」と、同社CTOのウルフは語る。同氏はこのほど、フォーブス「30アンダー30リスト2021年版」に選出された。

とはいえ、エビ独特の食感と、「ぷちっ」と弾ける歯ごたえは、とりわけ再現が容易ではなかった。ニュー・ウェーブ・フーズは、5年という年月と800万ドルを費やし、有名料理学校カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(CIA)の認定マスターシェフの協力を得て、製法を開発。やがて、海藻由来の材料を機能性たんぱく質と組み合わせるという、ニュー・ウェーブ独自の製品を編み出した。製法は企業秘密だ。

「私たちは製法を、コカ・コーラと同様に秘匿している」とマクガヴァンは言う。「原材料は、ひとつの設備で混合されてから、製造工場に運ばれている。そうすれば、製造工場の従業員は、製法全体を目にすることができない」
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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