バルクオムは、代表取締役CEOの野口卓也が2017年5月に設立し、洗顔料、化粧水、乳液、シャンプー、トリートメント、頭皮美容液など、世界中の男性の肌に新しい価値を提供するブランド・製品を展開している。
公式オンラインストアほか、全国2700店舗以上の小売店・ヘアサロンにて販売。17年から台湾や韓国、中国といったアジア、20年にイギリス、フランス、イタリア、ロシアなど欧州にもグローバル展開を進めている。19年度(19年10月~20年9月)の売り上げは、前年同期比約210%と大きく成長を続けている。
そのバルクオムに18年12月の初回から計3度、リード投資家として投資をしたのが、伊東駿がシニアキャピタリストを務めるニッセイ・キャピタルだ。伊東はなぜ、野口率いるバルクオムに投資をしたのか。
伊東:最初に出会ったのは、18年10月。初回面談から「ポジティブ」で投資をした理由は、3つほど。
1つ目は、ユニットエコノミクス(顧客1人あたりの収益性)が優れていた点。バルクオムの強みである、デジタルマーケティングを生かして、効率的にユーザーを獲得し、高いリピート率をサブスクリプション型で作ることができていた。
2つ目は、強く、高いブランド力を築いている企業が少ないメンズコスメ市場で、デジタルマーケティングを駆使して早期にブランド構築するという野口さんの手法に可能性を感じた点。
3つ目が、大学時代から学生起業家としての野口さんを知っており、起業家として打席に立ちチャレンジし続けている点です。
当時の上司からは「投資家としてシンボリック銘柄を作りなさい」と常々言われていました。一つの領域において、カテゴリーリーダーになる起業家・会社へ投資をしろと。いま、バルクオムは私にとってのシンボリックな投資先になっているのでうれしいですね。
野口:「ニッセイ・キャピタルの伊東さんを紹介してください」と起業家仲間からすごく言われます。「これは」という企業は紹介していますが、僕の紹介で伊東さんが投資した会社はゼロ。結構厳しいです(笑)。
伊東さんは、ニュートラルに話を聞いてくれ、大きな意思決定など重要な局面では別の角度から必ず打ち返してくる。「絶対こうだ」「こうじゃないと思う」といった主観的な助言ではなく上場企業のIRなど数字や事例ベースの多角的な助言を冷静に伝えてくれる。それを徹底しているところに伊東さんのすごさを感じます。