英大学チーム、CO2から効率的なジェット燃料生成技術を開発

Tobias Titz / by Getty Images


今回の研究で生成されたジェット燃料は、機能面では航空業界が現在用いているものと何ら変わりはない。だが、1ガロンいくらという、具体的な値段をつけることは可能なのだろうか? この疑問をヤオにぶつけてみた。

これに対するヤオの回答は、「その点は現在、我々の関心の中心にある非常に重要な問題だ」というものだった。コストの比較について、研究チームは航空業界と共同で取り組みを進めている。その一方で、「我々の製造法では、設備投資のコストに関しては、間接的なルート(メタノールに変換してからジェット燃料に変える方法)の半分に抑えられる」とヤオは明かした。とはいえ、原油から製造されるジェット燃料との直接的な価格比較は、今はまだできる状態にない。

航空業界は現在、新型コロナウイルスのパンデミックで大打撃を受けている。世界各国が渡航制限を実施するなか、RPK(有償旅客キロ、有償旅客数に輸送距離をかけわせたもの)が最大で90%以上のマイナスとなるなど、大幅に落ち込んでいる。

だがそれだけでなく、環境活動家たちからは、そもそも航空機による大規模な旅客輸送が長期的に存続可能なのかという点にも疑問符が突きつけられている。飛行機を使った移動は、温室効果ガスの削減目標と相容れないというのが、こうした活動家の主張だ。

電気を動力に用いた大型の旅客機が実用化されるまでにはかなりの年月がかかると見られることから、炭素排出量を気にかける長距離旅行者にとって、現時点で利用可能な最良の選択肢は、カーボンオフセット・プログラムだ。だからこそ、航空業界や旅好きの人たち、インスタグラマーにとって、カーボンニュートラルな空の旅は、一刻も早く実現が望まれる目標だ。

では、今回開発された新たな製造法には、次はどんな展開が待っているのだろう? エドワーズが率いるチームは、世界初の実質排出ゼロ(ネットゼロエミッション)の航空機向け燃料を生産する実証プラントの建設に向けて、業界と共同で取り組む計画を明らかにしている。

ヤオは、「今後の主な課題となるのは、二酸化炭素と水素のコストだ」と指摘した。とはいえ、「二酸化炭素の捕捉技術の進歩に加えて、再生可能エネルギー経由で、より安価に水素が生成可能になれば、コストは大幅に削減されるだろう」とのことだ。

「二酸化炭素の再利用をベースにした持続可能な航空燃料の未来は非常に明るい、と我々は確信している」とヤオは自信を見せた。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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