あそぶようにはたらく。アプリプロデューサー実践する軽井沢ライフ

PLAY代表取締役 イセオサムさん


鈴木:軽井沢のテレワークの歴史は、明治時代までさかのぼります。万平ホテルや旧三笠ホテルなどで活発に行われていた人的交流を目的のサロン文化に端を発し、大正・昭和時代の別荘文化へと、歴史的にも人的交流が活発だったのが特徴です。イセさんはそれを実践されてますね。今の時代、仕事はどこでもできると思いますが、ワーケーションする最大のメリットって何だと思いますか?

イセ:「生産性が上がった」という声をよく聞いたりするんですが、僕はワーケーションに求めるのはそこじゃないと思うんです。もちろん、オフィスや家に閉じ込められて作業するより気分がいいから効率が上がることもあるとは思うんですが、効率の先にあるものってなんだろう、って。

せっかく自然や新しい仲間との接点が生まれるチャンスがあるんだから、生産性ではなくて、セレンディピティを求めるのがいいんじゃないかと思います。

鈴木:セレンディピティ、全く同感です。まさにワーケーションの本質はそこだと思ってます。イセさんは、具体的にどのような時にセレンディピティを感じますか?

イセ:好きで同じ場所に集まっている方って、だいたい気が合うんです。そして、何かしらのスキルを持っている人が多い。だから、新しいプロジェクトで人を探してるときに、この人と一緒にやったらどうかなって、という視点で動いています。実際、こちらで生まれた仕事で、一緒にチームを組んで進めているものがいくつもあります。

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自宅庭で薪割をするイセオサムさん

鈴木:こちらでは、どんな仕事をされているのですか?

イセ:仕事は東京に住んでいた時代から引き続き、「写真で一言ボケて(bokete)」というアプリの運営に関わっています。チームは10名ほどで、僕はアプリのプロデュースと企業や自治体とのコラボを担当しています。あとは、大企業、スタートアップの経営やDXに関するアドバイザーを複数やっています。他にはYoutubeチャンネル運営、ハイブリッドサラリーマンズクラブという複業推進のオンラインサロン運営をやっています。

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焚火Zoomミーティングの様子

焚き火を囲みながら話すとリラックスできるので、Zoomミーティングには焚き火役として参加することも良くあるんです。

鈴木:移住してから仕事はどのように受注されているのですか?

イセ:実は、今年すごく増えました。世界的にテレワークの時代になったことが要因だと思うのですが、「写真で一言ボケて(bokete)」のコラボ先も東京だけじゃなく、福岡や京都の亀岡市、フィンランドの企業とお仕事させて頂いたり、アドバイザーも東京以外の会社が増えました。

僕は移住するためにフルリモートで仕事をするための準備をしてきたので、オンラインでのコミュニケーションやファシリテーションが得意だったんだと思います。主催するオンラインサロンで、毎週のようにオンラインイベントをやっていたのも役に立ちました。

鈴木:昔は別荘や二拠点居住は軽井沢でという考えが多かったように思います。最近移住された方は、御代田町、小諸市、佐久市も入れた広域軽井沢エリアを軽井沢ととらえている人が増えており、軽井沢のブランドロイヤリティが変化していると思っています。移住も広域に広がってきています。イセさんはなぜ御代田に移住されたのですか?

イセ:最初は軽井沢で場所を探していました。全然土地勘もなかったんですが、たまたまAirbnbで泊まった宿が御代田町で、それで存在を知ったんです。僕が決めていた条件は、1. 小学校から徒歩20分以内、2. 住宅地よりほどよい森感がある土地、3. 駅まで車で15分以内の3つ。そこでたまたまひとつ見つけた物件が、住所が軽井沢じゃなくて御代田だったんですよ。
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文=鈴木幹一

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