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2021.01.13

ビットコイン急騰で生まれた4人の「新ビリオネア」の顔ぶれ

左からウィンクルボス兄弟、ティム・ドレイパー、マシュー・ローザック(Getty Images)

ここ1年ほどの間、株式市場は好況に湧き、多くの投資家らに利益をもたらした。しかし、ビットコインに投資する人々の一部は、それをはるかに上回るリターンを得ている。

2020年1月から1年間のS&P500の上昇率が、約17%だった一方で、ビットコインは同時期に400%も急上昇し、1コインの価値は4万ドルを突破。他のデジタル資産もそれに伴って上昇気流に乗った。

仮想通貨(暗号資産)関連の調査サイトMessari(メッサーリ)によると、すべての仮想通貨の価値の合計は1月8日に1兆ドル(約104兆円)を上回り、現在も9200億ドル以上となっている。

ビットコインの急騰により、新たにビリオネアの仲間入りを果たしたのが、「ウィンクルボス兄弟」として知られる双子の兄弟、タイラー・ウィンクルボスとキャメロン・ウィンクルボスだ。2人は、マーク・ザッカーバーグがフェイスブックのアイデアを彼らから盗んだとして訴訟を起こした結果、6500万ドル(約68億円)の和解金を手にしていた。

2013年に2人は、そのうち1100万ドルをビットコインに投資した。世間は仮想通貨への投資で巨万の富を得ようとする兄弟を長年、嘲笑してきたが、1月8日にキャメロン・ウィンクルボスは「ビットコインの時価総額(約7663億ドル)は、今やフェイスブックの時価総額(約7593億ドル)を上回った」とツイートした。

2人が保有するデジタル資産は、1月11日時点でそれぞれ14億ドルであり、マーク・ザッカーバーグの資産(約940億ドル)に比べればはるかに少ないが、1ヶ月前の2倍以上に膨らんでいる。

ビットコインの急騰の背景には、米国の連邦準備制度理事会(FRB)がパンデミック後の経済刺激策として数兆ドルを注ぐ中で、投資家らが、ビットコインをインフレに対するヘッジとして見るようになったことが挙げられる。

2017年に起きた急騰では、個人投資家らが価格上昇を牽引していたが、今回は大規模な機関投資家の参入や、仮想通貨の購入窓口の多様化などが、価格上昇の原因となっている。

ペイパルもビットコイン決済に対応へ


2020年10月には、ジャック・ドーシーが率いる決済大手スクエア(Square)が5000万ドル相当のビットコインを購入したが、その価値は現在1億6000万ドル以上に上昇している。ヘッジファンドの億万長者ポール・チューダー・ジョーンズは、自身の資産の2%を仮想通貨で保有しており、プライベート・エクイティ大手のノーザン・トラストは、機関投資家向けにビットコイン、イーサリアム、XRP、ライトコイン、ビットコインキャッシュの管理サービスを提供する計画を明らかにした。

ペイパルも、3億人の顧客向けにビットコインなどの仮想通貨の売買サービスを正式に開始し、2021年初めに世界のペイパル加盟店2600万店以上で仮想通貨を使った支払いができるようにすると発表した。

フォーブスは、開示データをもとに仮想通貨分野の新たな富豪たちの保有資産を算定した。その結果、少なくとも4人が新たにビリオネアの仲間入りを果たしたことを確認した。このランキングは、完璧からはほど遠いものではあるが、ここ最近の仮想通貨市場の過熱ぶりの一端を示すものとなった。
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編集=上田裕資

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