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2021.01.13

フランスでカタツムリ養殖業者が危機に コロナ禍で大量に売れ残り

Natasha Breen / by Getty Images

フランス人はバターを殻にふんだんに詰め込んだエスカルゴ(カタツムリ)が好物だというイメージがあるが、2020年はそうではなかった。新型コロナウイルスの流行のせいで破壊的な影響が生じたケースもあった。

小規模なカタツムリ養殖業者の多くは、売り上げの70〜80%をクリスマスから新年にかけて得ている。しかし、新型ウイルスの流行によりさまざまな店が閉鎖され、移動が制限され、国内全土で厳しい外出禁止令が出される中、販売機会は著しく減少した。

英紙ガーディアンによると、フランスにはこうした小規模なカタツムリ養殖業者が400社ほどあり、クリスマス市や露店、ケータリング業者などにカタツムリを卸している。

こうした養殖業者は政府による支援の対象となっていない。ワインやフォアグラの生産者と違い、カタツムリ業者は全国規模の業界団体がないため、政府に支援の働き掛けができないのだ。

フランスではレストランやバー、カフェが10月30日から閉鎖されており、この状況はさらに長期化する見通しだ。マクロン大統領は以前、衛生管理の条件を課した上で店内での飲食を1月20日に解禁すると発言したが、ニュースサイト「ザ・ローカル」は今週、その見込みが薄くなったと報じている。

ラジオ放送局フランス・ブルーは、北東部アルザスのカタツムリ養殖業者が自宅への直送やインターネット販売など、新たな販路の模索を強いられたと報じている。ある養殖業者の男性は仏地方紙レスト・レプブリカンに対し、需要不足により3トンものカタツムリが売れ残っているとし、「こんな時代は経験したことがない」と語った。

男性は、自家製ブイヨンでマリネして殻に新鮮なバターを塗った自社製カタツムリを宣伝するため、ブサンソン市内の家庭の郵便受けにチラシを配り始めた。「消費者からの需要増を期待している。そうでなければ、未来は考えることもできない」と男性は語った。

編集=遠藤宗生

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