渡辺直美x稲木ジョージが予測 未来にインフルエンサーは必要か?


稲木:インフルエンサーたちが「小さな商店街」みたいな存在になってくると思います。つまり、一人一人がビジネスオーナー、「起業家」に変わっていくのではないかということです。

アメリカは年齢問わず、起業に対してポジティブな姿勢なので、起業する人が多いです。10代の若者も自分でプロダクトを作っては、SNSで発信しています。つまり、生き残る術を知っているのです。一方で日本では、起業家という言葉がまだまだ浸透していない印象です。一旦社会に揉まれて10年ほど組織の中で仕事をする。40歳、50歳になってから独立して起業するのも悪くありません。

ただ、日本でも老若男女全ての人が、もっと「小さなビジネスオーナー」になることに挑戦してもいいと思います。そんな時代にシフトしつつあると予想しています。

稲木ジョージ

渡辺:稲木さん含め、私たちは「SNSはしりの世代」です。実はキアラ・フェラーニ(世界的なインフルエンサー)も同じ歳なんですよ。彼女のキャリアはブロガーから始まり、コツコツ頑張ったのちに、インスタグラムを通してビジネスをはじめ、成功しました。

きっと今の若い世代の子たちは、インスタグラム上でのキアラのみを見ているでしょう。その場合、彼女を「起業家」という目線で憧れるよりも「あんな風になりたい」、「キアラみたいに有名になって、あの商品が欲しい」と、本質を見られなくなってしまっているかもしれません。

白黒はっきりと、同じくらい大切なこと


──社会に良いことをしているのに素直に受け取らない人がいます。また、SNS上では炎上する恐れもあります。これからのインフルエンサーには、どんな姿勢が求められていますか。

稲木:渡辺さんの行動一つ一つに責任感があるように、一つ間違えるだけで大きく責められてしまう世界なので、みんな慎重です。同じように、企業側もより責任感を持って行動することが大前提となります。

その上で、これからはソーシャルメディアを通してビジネスをやっていくという構造に変わるのではないでしょうか。

渡辺直美

渡辺:世界共通のことですが、たとえどんなに良いことをしても、悪く捉える人は一定数います。そんな中でも、良いことをした人が「私は〇〇をやってきました、社会貢献しています」と自身のチャンネルで言うのも、私はすごくいいことだと思います。難しいのは、それを上手く見せなきゃいけないことですよね。

よくいるじゃないですか。超大金持ちと言われている人が募金をして金額を公表すると「それだけ?」と批判する人。大事なのは「それは全員の声ではない」であると、みんなが認知をすること。

悲しいことに、空気を読めない人や、時代の流れをキャッチできない人は声が大きいんですよね。ネット上で偏った意見を振りかざしている人たちほど、声が大きすぎて衝突してしまう。

間違いなく、自分の意見を言うことはすごく大事です。ただ、相手の意見を聞くことも同じくらい大事だと思います。2020年に感じた最も大きなことのひとつですね。

どんな場合でも炎上するものだと思って、あるトピックに対して、自分自身の意見を白黒はっきりさせること。白だと言うと黒が正しいと言われ、黒を選ぶと白だと言われるかもしれない。でも、これは仕方ありません。ノイズに惑わされず、周りの人の意見を取り込みながら、自分の意見を持って突き進むことが、今後のインフルエンサーに大事なことなのかなと思います。


前編|渡辺直美x稲木ジョージ対談 コロナ禍に起きたインフルエンサーの変化って?

 特別編として、2人が挑戦したいことも同時公開中です。

文=Ryoseon Bae(Forbes JAPANオフィシャルコラムニスト)編集=督あかり 写真=Christian Tartarello

ForbesBrandVoice

人気記事