ビジネス

2021.01.13

コロナ禍でも好調のルルレモンを支える「パワー・オブ・スリー」戦略

Photo by Kevork Djansezian/Getty Images

ヨガやワークアウト用のウェアを中心とする衣料品ブランドのルルレモンが、市場シェアの拡大を続けている。2020年第3四半期(8~10月)には、予想を上回る売上高(約11億ドル、約1145億円)を記録。直販とデジタル販売(e-コマース部門を含む)の売上高は、前年同期比93%の増加となった。

ルルレモンは新型コロナウイルスのパンデミック発生後も、新規顧客の獲得や既存顧客の購入額の増加を実現してきた。同社のカルビン・マクドナルド最高経営責任者(CEO)は好調な業績について、商品のイノベーションやe-コマース事業への投資、ホームフィットネスのスタートアップ企業「ミラー(MIRROR)」の戦略的買収により、実店舗とデジタルの双方における顧客のニーズにより良く対応できたためだと説明している。

さらに、好調な業績は同社が戦略として掲げてきた「イノベーション」と「オムニチャネルの顧客経験」、そして「市場拡大」の3つを柱とする「パワー・オブ・スリー」によって実現されたものでもあるという。

具体的には、各商品カテゴリーでの顧客の増加、新商品の導入、在庫管理、デジタル化に向けた多額の投資、さらには(新型コロナウイルスのパンデミックで店舗を閉鎖した際の)従業員への給与保証などが、こうした結果につながっているという。

売り上げの増加を後押ししているものには、進歩したテクノロジーを採用した商品、ファッションに関するノウハウと科学を組み合わせたデザインもある。同期の女性向けウェアの売上高は、商品開発と新商品の発売により、前年比で22%増加。メンズウェアも新商品の導入により、同14%増加した。さらに、デジタル部門の売上高は、売上高全体の43%を占めるまでに増えている。

増収と顧客とのつながりを深めることに役立った最新のテクノロジーには、バーチャル・ウェイティングリストと、店外で使用可能なモバイルPOS、BOPIS(オンライン販売・店舗以外での受け取り)、予約機能、顧客とのオンラインチャットなどがある。そのほか70カ所に展開したポップアップストアも、サービスの向上とブランド認知度の向上につながっている。

今後の方針


女性の顧客に商品カテゴリーを横断した買い物をしてもらうこと、メンズウェア部門の成長を加速させることを目指すルルレモンにとって、商品の新しさと革新性は、最も重要なものだという。

また、傘下に収めたミラーが提供したのは、ユーザーがデジタルでインストラクターとつながり、自宅にいながらワークアウトのクラスに参加することを可能にするシステムだ。同社はこれによる顧客へのデジタル経験の提供に加え、イノベーションの結果として新たに、「3Dヨガボディマット」の発売を予定している。

マクドナルドCEOは、ミラーとルルレモン双方の顧客を対象とすれば、よりダイナミックなロイヤルティ・プログラムを提供することもできるとの見方を示している。

同社はまた、「インクルージョン(包括性)、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公正さ)、アクション(行動)」を重視する「IDEA」の取り組みも強化している。

編集=木内涼子

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