米大手企業、議会乱入事件で共和党の一部議員への献金を中止

ジョシュ・ホーリー上院議員(Erin Schaff-Pool / by Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領の支持者らが1月6日、昨年11月に行われた大統領選の投票結果を認定する上下両院合同会議の手続きを阻止しようと連邦議会議事堂に乱入した事件を受け、大企業数社が共和党の一部議員への献金の停止を決めた。

ニュースサイト「シンクプログレス(ThinkProgress)」の創設者ジャッド・レガムが発行するニュースレター、「ポピュラー・インフォメーション(Popular Information)」が民主党のジョー・バイデン候補を次期大統領と認定することに反対した上院議員8人のうち、1人以上に献金していた144社を対象に調査した結果、明らかになった。

ホテル大手マリオット・インターナショナル、医療保険会社で構成されるブルークロス・ブルーシールド協会(BCBSA)、銀行持株会社のシティグループとコマース・バンクシェアーズは、一部議員に対する政治活動委員会(PAC)を通じた献金を無期限に停止する。

マリオットのPACは昨年の選挙で、ジョシュ・ホーリー上院議員(共和党・ミズーリ州)の陣営と議員自身のリーダーシップPACにそれぞれ1000ドル(約10万4000円)を寄付していた。

トミー・タバービル(共和党・アラバマ)、ロジャー・マーシャル(共和党・カンザス州)、ホーリーの3人の上院議員に合わせて約1万2000ドルを寄付したBCBSAのPAC「BLUEPAC」は、「11月の選挙の結果を覆そうとした」共和党議員147人全員への支援を中止するという。

また、マーシャル上院議員に2500ドルを寄付したコマース・バンクシェアーズは、「平和的な政権交代を妨げたすべての当時者への支援を停止する」ことを明らかにした。

ホーリー議員に1000ドルを寄付したシティバンクのPACは、従業員宛てのメモで「法の支配を尊重しない候補者は支持しない」「今四半期の献金は中止する」と述べており、複数の報道機関が10日、このメモを入手している。

そのほかバンク・オブ・アメリカ、フォード・モーター、AT&Tは、今後の献金について決定する際には今回の事件を考慮すると回答。薬局チェーンのCVSヘルスと小売大手ターゲット、エクソンモービルとフェデックスは、献金に関する見直しを進めているという。

一方、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーの広報担当者はフォーブスの取材に対し、同社のPACは6カ月間にわたり、共和・民主両党への寄付を中止する方針であることを明らかにしている。

一部議員には辞任要求も


「選挙に不正があった」とするトランプの主張に同調し、結果の認定を阻止しようとするトランプ支持者らが激高して議事堂に乱入したことを受けても、バイデン勝利の認定に反対することを選んだ共和党議員たちへの批判は、高まりをみせている。各社による献金の停止は、そうしたなかで決定されたものだ。

ホーリー議員は、サイモン&シュスターと結んでいた出版に関する契約が破棄され、地元ミズーリ州の2大紙から辞任を要求されている。バイデン勝利の認定に反対したその他の上院議員たちも、主要各紙やほかの上院議員たちから辞任を求められている。

編集=木内涼子

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