ジャック・マーだけではない、中国から「消えた富豪」たち

アリババ共同創業者のジャック・マー(Photo by Chesnot/Getty Images)


不動産王も失踪


ここ3年ほどの間に姿を消したビジネスマンも複数いる。中国の不動産王、任志強(Ren Zhiqiang)は、昨年3月に政府の新型コロナウイルス対策を批判する文章をネット上で公開した。その中で、任は習近平を名指しこそしなかったものの「ピエロ」と呼んだ。

2020年3月に、任の友人たちはニューヨーク・タイムズに対して、「任のことがとても心配だ」と述べ、任が行方不明となり、捜索していることを明らかにした。任の父は共産党幹部で、彼自身も長年の党員だが、中国政府は7月に任の党籍をはく奪したと発表した。任の資産は没収され、9月には収賄と権力乱用の罪で懲役18年が言い渡された。任の支持者たちは、任が習近平を批判したことで罰せられたと主張している。

香港から連れ去られた富豪


もう1人の大物で、投資会社「トゥモローグループ(Tomorrow Group)」の肖建華(Xiao Jianhua)は、香港で失踪した。報道によると、2017年1月に香港のフォーシーズンズホテルから車いすに乗せられ、顔を覆われた状態で連れ去られたという(肖は、普段車いすを使用していない)。

肖は、中国本土に連行されたとされている。トゥモローグループは、2020年7月にウィーチャット(微信)上で、「肖は中国本土におり、当局の捜査に協力している」と述べた。同社は、後にこのコメントを削除している。

中国政府は、トゥモローグループの関係会社が支配株主や持ち株の情報を隠蔽したとして、6社以上を管理下に置いた。肖は、政府高官とのパイプが太く、彼らのために商取引を行っていたとされるが、その後公の場に姿を見せていない。トゥモローグループの広報担当者にコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。

編集=上田裕資

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