特に興味深いのは、医師の判断ではなく自己申告の有症状を基準にしているにも関わらず、発熱は4人に1人、嗅覚の異常は3人に1人が陽性、と高い陽性率が示されていることだ。発熱や嗅覚の異常の自覚があった場合は、とりあえず感染を疑ってみるべきだと言える。
接触や症状がない場合の陽性率は低い
一方、自覚症状も感染者との接触の申告もない場合の陽性率は全期間で0.2%と低いことも判明した。さらに、自覚症状はないが感染者との接触の自覚はある人でも陽性率は2.3%に留まっている。症状や接触の自覚が全くない場合は、そのような自覚があった場合と比べ感染しているリスクが大幅に低くなっているようだ。
さらにコロナを押さえ込むために:体調不良に特に注意を
現在の行政検査の対象は、濃厚接触者、症状の重い人、または医師に感染の危険性があると判断された人を中心としている。しかし、行政検査対象で追えない軽い症状や軽い接触しかない人々も高い陽性率を示していることが分かった。一方で、自覚症状も感染者との接触の申告もない場合の陽性率は低い。
これらのことから、体調不良や感染者との接触の自覚がある人が自主的に隔離することで、感染の拡大を抑えられるかもしれない可能性が示唆される。彼らが気兼ねなく家に引き篭れる環境づくりと雰囲気づくり、彼らが街中に繰り出さずに検査を受けられる遠隔検査体制の充実が急務である。
今後、さらに検査数が増えていくにつれ、データと分析を随時更新し公開していく予定だ。症状や状況別の陽性率を公開し続けることで、効果的な感染防止対策、検査体制などの議論に貢献することが目標だ。
最後に、今回は私たちがこのようなデータと分析を公開することになったが、ぜひ他のPCR検査機関や政府・自治体も症状別陽性率などの細かい情報を公開していただきたい。そのような情報公開は市民や医療機関が感染リスクをより正確に評価することを助ける上、私たちがPCR検査データの整理・分析といったボランティア副業をする労力を節約してくれる。関係者各所のご協力をお願いする次第である。
追記:本記事で紹介した郵送PCRサービスPCR Nowと半熟仮想やそのメンバーの間には金銭授受や事業上の利害関係は一切なく、純粋に非営利の社会事業である。
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