発熱症状ありの4人に1人が新型コロナ、嗅覚の異常は3人に1人

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重症者や濃厚接触者でなくても、体調不良の場合は感染を疑おう


検査データを通してまず明らかになったのが、体調不良者の陽性率の高さ、そして顕著な上昇だ。

9月下旬から11月末までと12月単月のデータを比較すると、体調不良者(問診票の自己申告で体調が不調と答えた者)の陽性率は、11月以前は5.5%であったのに対し、12月は11.4%にまで上昇した。

最近は東京都によって発表される陽性率が2桁であることが連日続いているため、これらの数値だけをみて驚きを憶えないかもしれない。

ただ、この郵送PCR検査サービスを受けている人は、現在行政検査の対象の中心には入らないような人、つまり濃厚接触者には入らないが接触の自覚がある人、症状が軽微な人、または医師に感染の危険性があると判断されていない人が多い。

この点を踏まえると、医師の判断なしの自覚症状のみで12月時点で11.4%ほどの陽性率が出ていたのは驚異的ともいえる。

体調不良だが新型コロナ陽性者とは無接触だと報告している検査者に限定した場合でも同様であり、陽性率は5%から10.1%へと上昇している。さらに、症状と接触の報告が両方あった場合は12%から20%まで上昇している(ただし、症状と接触が両方あるサンプルは少ないので参考値と考えてほしい)。

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全期間で「周りで新型コロナウイルス感染症と診断された人がいる」と答えた人(以下、接触と呼ぶ)の陽性率は2.3%、「なんらかの体調の不調がある」と答えた人(以下、体調不良と呼ぶ)の陽性率は7.4%であった。

これらの数値は、たとえ濃厚接触歴がない、あるいは重症な症状がない場合であっても、何かしらの症状や接触した可能性がある場合は、ひとまず新型コロナウイルスに感染をしている可能性がある前提で行動するべきであることを示唆している。

発熱は4人に1人が陽性、嗅覚の異常は3人に1人


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以上のグラフからもわかるように、体調不良の中で嗅覚の変化、悪寒、発熱、痰、筋肉痛、結膜炎(目の痛み・痒み・赤み)は新型コロナウイルスの可能性を特に示唆する症状である。また、倦怠感、頭痛、息苦しさ、咽頭痛、咳に関しても油断を許さない陽性率が出ている。
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文=成田悠輔、粟飯原俊介(半熟仮想・自治医大)、小田啓太(自治医大・F-medical・東京大)、須藤亜佑美(半熟仮想・Yale大学)、竹口優三(F-medical・東京TMS クリニック・福島県立医科大)、田中奏多(東京TMSクリニック)

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