日本人が忘れかけている凄い国産車と、これから出る「注目のクルマ」

2016年マツダ・ロードスターはworld car of the Yearに輝いた/photo by Bryan Thomas(Getty images)


ということで、多くの日本車の栄光に光を当ててみたけど、これから2021年には、どんなクルマが登場するだろうか。もちろん、その多くは電動車だ。トヨタは信頼性が非常に高いメーカーだけど、今年春にショールームに並ぶエポックメーキングな車両は、次期「ミライ」だ。僕は同車のルックスや走りを高く評価しているけど、基本的にはミライは水素を使って電力を作るEV車だ。だが、今回は旧型と比べて、後輪駆動に変更され、5人乗りの高級セダンに生まれ変わっているので期待度が大きい。航続距離も700kmだから合格だ。

トヨタ・ミライ

フォーミュラEに力を入れている日産にとって、2021年は重要な年だ。今年は、同社初のSUVのEV車であるアリヤがメルセデス、BMW、アウディ、ポルシェ、ボルボ、ジャガーなどのEVに勝負をかける。アリヤはかなり力のある4WD車として登場するけど、450kmという航続距離を誇るほか、日産がどんどん進化させている自動運転技術の「プロパイロット2.0」を搭載することで話題になっている。また、EVのアリヤとは正反対の次期「フェアレディZプロト」が昨年の末にアンベールされた時には、世界のクルマ好きに大きな期待を持たせた。レトロな外観を引き継ぐこのモデルは、話によると400psほど発揮するようだし、300万円代になる模様。

日産・アリヤ

もうひとつスポーツカーのファンを興奮させる車両は、年内に販売されるスバルの次期BRZだ。旧型車に引き続きトヨタとの共同開発のこのクーペはだいぶ格好良くなったし、パワーも1割以上増えた。忘れてならない年内に登場するもう1台のスポーツカーはホンダ・シビックタイプRだ。FFのこの4ドアは、ルノー・メガヌRSと戦って、ニュルブルグリンクのFF最速ラップ記録を取り戻せるのだろう。

ところで、昨年の日本COTYのデザイン賞を獲得したMX-30は、マツダによる初の電気自動車として、追加車種が今年の春までに国内でデビューする。今、日本市場に出回っているモデルはガソリンハイブリッド仕様だ。欧州ですでに発売されいているEV仕様の評判はかなり良さそう。スタイリッシュな外観と観音開きドアなどは話題になっているけど、210kmという航続距離は多少ひんしゅくを買っている。

マツダ・MX-30

今年10月に東京モーターショーが開催されることになっているけど、今回目立つのは、各メーカーが出す電動車と、スポーツカーだね。どの国もEVを次々と出しているけど、これだけ手ごろなスポーツカーを真剣に作り続けてきている日本のカーメーカーは、エライ! カーボン・ニュートラルや自動運転の開発の一方で、日本が手頃なスポーツカーを忘れていないことは賞賛すべきことだ! 秋までに世界が元気になっていることを願ってやまない。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
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文=ピーター ライオン

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