同社CEOのキース・フーグランドは、「新型コロナウイルスのパンデミックは人々の移動を制限しただけでなく、新作映画の公開本数を減らし、我々のビジネスを終了に追い込んだ」と述べた。
しかし、フーグランドの一家は完全に廃業した訳ではないようだ。彼らはFamily Videoの店舗を支える不動産を所有している。フォーブスは2017年にフーグランド家を取材した際に、その資産価値を約4億ドル(約414億円)と試算していた。
「当社は不動産部門のLegacy Commercial Propertyを通じ物件を所有し、管理することで地域コミュニティとのつながりを維持していく」と、フーグランドは1月5日の声明で述べた。
フーグランドは同社が所有するプロパティの価値を理解し、過去数年の間、Family Videoを借入金の返済手段として運営してきた。彼は、ビデオレンタル市場が縮小する一方で、フィットネスクラブや家電量販店、ピザチェーンなどに土地や建物を貸し出すことで、収益の確保に務めてきた。
しかし、最終的にはパンデミックによる経済的な打撃が大きすぎて、コアビジネスを存続させることが不可能になったのだ。
Family Videoの広報担当者は、同社が今後、可能な限り多くの建物をリースし、そこから得た資金で新規事業を開始する可能性があると述べた。
同社は1978年にキースの父のチャーリーが、祖父から受け継いだ小売店から始まった。その店は、米国で最も早い時期に開設されたビデオレンタル店の1つだった。
同社は、ブロックバスターのような大手とは競合しない、地方都市をベースに事業を拡大した。レンタル事業と並行して、土地の取得も進めていった。
2017年のフォーブスの取材で、キース・フーグランドは同社の将来性について強気の姿勢を見せていた。「我々は5年後には、まだこのビジネスを続けているだろう。当社は人々が考える以上に長い間、この市場に留まるはずだ」と述べていた。
まさか、その3年後に世界がパンデミックに襲われるとは夢にも思わなかったはずだ。