デンマーク人が「愛してやまない島」の魅力とサステナブルツーリズム

ボーンホルム島の歴史と自然を体験できるハマスフース城遺跡


コペンハーゲンからボーンホルム島に移住してきて、現在はシーバックという果実を育てている農家のマスさんのファームを訪問した。

「家族で旅行にボーンホルムに来てこの島が好きになり、すぐに移住を決めました。それまでは農家の経験なんてなかったので、試行錯誤の連続でしたが、順調にシーバックの木も大きくなり、ジャムやジュースをはじめ、石鹸や化粧油などもオーガニックで作っています」とマスさん。このように都会から移住してくる例も多くある。


シーバック農園の納屋をリノベーションしたHøstetのお店とオーナーのマスさん

ボーンホルム島はクラフトビールでも有名だ。コペンハーゲン市内のスーパーでも見かけるスヴェーネケ(Svaneke)もボーンホルム産。普段飲むこのビールも、島の蒸留所に併設されたバーでゆっくりと楽しむと味も変わってくる。

キャンプもホテルも、宿泊体験を選べる魅力


アウトドアが人気のボーンホルム島ではキャンプもできる。趣向を凝らしたグランピング施設も何カ所か存在する。自然を体感することができるそうした宿泊以外にもコストを抑えた民泊やサマーハウス(別荘)、ラグジュアリーなホテルまで、様々なスタイルで楽しむことができる。

島でも有数の高級宿泊施設「ノーランデッド(Nordlandet)」は、海岸沿いのとても美しい見晴らしの良い立地に建てられている。ホテルとペントハウスタイプの2種類の宿泊施設からの部屋からは、バルト海の絶景が見える。

「グリーンソリューションハウス(Green Solution House)」という宿泊施設は、デンマークおよび周辺国の企業がよく利用しており、島のゆったりとした時間の中で環境問題を意識しながらワークショップを実施している。このホテルは、デンマークの気鋭の建築事務所「GXN」によって新棟の建築が進んでおり、木をふんだんに使用し、国の環境基準DGNBでも高い評価を得た棟が2021年に完成する予定だ。


エントランスには壁面緑化が施されている。このホテルはイノベイティブな技術を実験的に取り入れてテストする場としても機能している

アフターコロナのツーリズムとは?


デンマークは連日コロナ感染者が増えており、まだまだ警戒が必要だ。この状況を踏まえても、この先、ツーリズムがコロナ以前の状況に戻ることはないと思われる。個人としても、街から街を巡り、観光名所を巡るような旅はまだやる気がおこらない。それよりも密集地を避け、自然の中でマスクを外して、ゆっくりと時間を使って島の時間を楽しむような観光スタイルに憧れる。

ワクチン投与の準備ができて来ているというニュースも流れてきている。少しでも早く、日本からボーンホルム島を安全に訪れられる日が来ることを望んでいる。

連載:コペンハーゲンでいい空気吸おうぜ
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文・写真=蒔田智則

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