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エネルギーアイランドに向かうボーンホルム島


2020年6月、デンマークは世界で初めて、洋上風力発電を中心とした再生可能エネルギーによって発電を行い、発電されたエネルギーをハブとなる島に集めた後、デンマークおよび周囲のヨーロッパ諸国に輸出するという計画(エネルギーアイランド計画)を発表した。

デンマークの歴史の中で最大の公共事業と言われるこの計画で、そのハブとして、デンマークの西の北海に人口島を建設する計画である。また、ボーンホルム島の一部も使うと予定されている。この計画によると、ボーンホルム島では2030年までに最大で2GW発電可能な洋上風力発電の開発を進めている。

ここで作られたエネルギーは電気となり、デンマークのほか隣国のスウェーデンやポーランドにも輸出される予定だ。将来的にはこの2つの島を合わせて12GWの電力を発電を可能とする計画をしており、デンマークのグリーン政策をより推進するを期待されている。

こうしたグリーン政策の追い風もあり、ボーンホルム島のツーリズムはより環境への配慮を凝らしたものになっていった。観光業も含め島全体で排出されるゴミを完全ゼロにするルールをヨーロッパでも先駆けて設けたこともその一つである。

地元の多くの産業は、環境問題に厳しい視線を向けており、食品加工工場などは、無農薬でオーガニックであることは当然であり、さらに二酸化炭素削減(カーボンフットプリント)の努力もしている。


地元でとれた菜種からマスタードや油を作っているレーンスゴー(Lehnsgaard)の加工工場。屋根に乗った太陽光発電を利用してカーボンフットプリントを実質ゼロとしている

また、2010年に始まった、民主主義についての様々なディベートやレクチャーが行われる「デモクラティックフェスティバル」も、毎年ボーンホルム島で行われている。その会場では気候変動や環境問題などについて、多くの意見が交わされている。

ニューノルディックフードと新しいビジネス


ボーンホルムは決して大きな島ではない。ハイシーズンに大量の観光客が押し寄せて来ても、それをまかないきれるほどの規模も手間もない。そうして大量に消費されることによって島の大事な資源が疲弊してしまうのでは、今度は観光業も衰退してしまうだろう。

ボーンホルム島が目指すツーリズムとは、島に来て、ゆっくりと時間を使って色々な体験をしてもらうこと。そして、それを思い出として持ち帰り、日常の生活の中で生かしてもらうことだ。

デンマーク人のみならず、近隣のヨーロッパ諸国の旅行者がボーンホルム島を訪れるようになった理由のひとつに「ニューノルディックフード」がある。特にミシュランレストランの星を獲得したこともあるレストラン「カドゥー(Kadeau)」の存在は欠かせない。近海のバルト海で取れた新鮮な魚介類と地元で栽培された野菜を使った美しい皿の数々は、忘れられない思い出となるだろう。

豊かな日射と肥えた土を誇るボーンホルム島では、新たな農業への挑戦も多い。寒くて雨の多いデンマークのワインというのはなかなか想像しがたいが、ここでは、太陽の恵みを活用してぶどうを栽培し、オーガニックワインの生産も始めているという。

文・写真=蒔田智則

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