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そんななか、どの国でも人気を集めているコンテンツこそがアニメです。その理由は、アニメ作品の世界観や登場人物が「どの国のものでもない」からだと考えています。

世界的大ヒット作品の『進撃の巨人』にはヨーロッパ風の街並みが登場しますが、あくまで巨人に支配されている架空の世界が物語の舞台であり、登場人物たちも国籍をもたない「アニメ人」です。つまり、どの国でもない、なに人でもない──だからこそ、あらゆる国や地域で受け入れられやすいという強みがある。

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(c)諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

もっと突き詰めて言えば、アニメとはただの動く絵、つまり世界観から登場人物まですべてが「つくりもののフィクション」です。これは僕の師匠であるアニメーション監督・神山健治の受け売りですが、実写だと少し嘘っぽさがあるだけで、全体のリアリティが一気に失われる。それに比べてアニメは元々全部がフィクションだから、少しでも本物っぽい要素を入れるだけで、世界観がとてもリアルに見えてくるんですよね。

どこにも存在しない物語に少しリアリティを加えることで、どの地域の人々にも身近なものとして受け入れてもらえる。これがアニメ作品の強さだと思います。

──現在、ネットフリックスでは多数のアニメが配信されています。ジャンルやターゲットなどはどのように決めているのですか?

作品単体ではなく、全体的な編成力で勝負できるのが、ネットフリックス最大の強みです。

僕らが重きを置いているのは、「視聴者数」と「視聴時間」という指標。つまり、いかに多くの人に長い時間作品を見てもらえたかが判断基準になる。現在も約80本ほどの作品がさまざまな企画段階で練られているところですが、そうした基準をアニメの配信作品全体でどうバランスをとれるか、マトリクス的に戦略を立てて考えていくということです。

ネットフリックスのアニメ作品で比較的人気が高いのは、SF、ファンタジー、バトルものなので、こういうジャンルには一定の作品数を準備します。そこで成功が見込めれば、新たなジャンルを開拓してみる。例えば、少女漫画やコメディはどうかというように。

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ネットフリックス オリジナルアニメシリーズ「日本沈没2020」

自分が制作会社にいたときに「違うな」と思っていたのは、1作品の制作にスタッフ全員が注力せざるをなくて、それが失敗するとすべてがダメになってしまったこと。ネットフリックスでは、80本同時に動かしている時があるくらいなので、その分規模も大きく勝負できるので、極端に言えば、半分負けても半分勝てればいい。80作品中、2、3作だけでもより多くのファンに観ていただける大ヒットが出れば勝ちという姿勢で取り組んでいます。

編成的に「弱い」と思っているジャンルは今はやらないでおく、この作品はマトリクスで空いているこの辺を狙ってみよう、このジャンルは原作が足りないからオリジナルでつくろう、という選択がロジカルにかつ柔軟にできるのが大きな強みですね。

文=大竹初奈 編集=松崎美和子

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