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2021.01.10

2020年の小売業界を象徴する商品や企業を振り返る

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2020年における小売業界の目立った動きと言えば、サプライチェーンの寸断による打撃や、企業の倒産、そして、時おり起こったマスクを着けていない買い物客とのいざこざが挙げられる。しかし、ここでは明るい面に目を向けて、2020年の小売業界を象徴する商品や、注目を集めた新しい企業、わくわくするようなトレンドを紹介したい。

2020年を象徴する商品:トイレットペーパー


誰もが買い置きを確保できず、どうにかして手に入れようと走り回ったものがある。そう、トイレットペーパーだ!

全米で巻き起こった買い占め騒動の象徴であり、2020年の最もホットな商品である。2枚重ねであろうが、竹パルプ製だろうが、ドナルド・トランプの似顔絵が印刷されていようが、トイレットペーパーは突如、あらゆる店頭で売り切れが続出した。米調査会社ニールセンによれば、売上は22%も増加したという。2020年ならではの出来事だった。

2020年に最も注目された新しい企業:セラシオ


セラシオ(Thrasio)は、アマゾンのマーケットプレイスで商品を販売するサードパーティー事業者(独立系小売業者)を急ピッチで買収しており、他社がそれに追随している。

セラシオは、マサチューセッツ州ウォルポールを拠点としており、カルロス・キャッシュマン(Carlos Cashman)とジョシュア・シルバースタイン(Joshua Silberstein)という連続起業家たちが率いている。アマゾンのサードパーティー事業者を買収する企業のなかでは最大で、傘下に置いた企業がアマゾンで販売する個別アイテム数は1万個に上る。

同社は2020年7月、評価額10億ドルで2億6000万ドルの資金を調達した。米国では最速でユニコーンを達成した黒字企業だと自称している。

2020年を代表する破壊的イノベーション:ライブコマース


ライブ配信型ネットショッピングを意味するライブコマースは、中国ではすでに大成功をおさめており、米国でも次なる一大トレンドとなる可能性がある。モバイル時代のQVC(24時間放送のTVショッピングチャンネル)と称されることも多い。

米ファッションブランドのトミー・ヒルフィガーや、ジーンズブランド「リーバイス」のリーバイ・ストラウス、化粧品のエスティローダーなどが、ライブ配信によるオンラインセールスを実施し、商品を披露したり、消費者の質問に答えたり、注文を受け付けたりしている。

フェイスブックやインスタグラム、TikTokは、ライブコマースアプリを提供するスタートアップ「Popshop Live」(VC企業ベンチマークが支援)や、「ShopShops」(VC企業フォアランナー・ベンチャーズ、ユニオン・スクウェア・ベンチャーズが支援)としのぎを削っている。ネット広告の業界団体「Interactive Advertising Bureau(IAB)」は、ライブコマースが生み出す売上は2021年に世界全体で倍増し、1200億ドルに達すると予測している。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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