ビジネス

2021.01.10

2020年の小売業界を象徴する商品や企業を振り返る

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悪夢の年を迎えた巨大モール「アメリカン・ドリーム」


彼らはそれを、練りに練られた最高のプランだと考えていた。ニュージャージー州イースト・ラザフォードのメットライフ・スタジアム近くにある巨大モール「アメリカン・ドリーム」は、建設に15年を費やし、何十億ドルもの資金を集め、所有者が変わり、同州元知事クリス・クリスティからは「州で最も醜い建物」という辛辣な批判を受けてきたが、2019年10月にようやく一部開業にこぎつけた。

開発を手がけたトリプル・ファイブ・グループ(Triple Five Group)は大胆にも、年間来場者数を4000万人と予測していた。ディズニーランドの入場者数の2倍に上る人々が、ショッピングや食事、屋内スキー場やテーマパーク、ミニゴルフ場など派手なアトラクションに夢中になるだろうと見込んでいたのだ。

ところが2020年になって、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生。人でごった返す屋内のショッピングモールに出かけることは、腐った牛乳を飲むことと同じだと考えられるようになってしまった。アメリカン・ドリームは2020年10月1日に営業を再開したが、当初はレストランが全店休業していた。現在も営業店は限定され、来場者数は25%に抑えられている。全長が2.4km近いウォータースライドは、1日2回消毒が行われているという。

2020年を代表する優良企業:ショッピファイ


新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、小規模事業者にとって頼みの綱となったのがショッピファイだ。ショッピファイは、カナダ発のEコマースプラットフォームで、家族経営の小さな商店がオンラインショップを立ち上げられるよう支援し、決済や受注の処理、在庫管理からマーケティングまでを手助けしている。

ショッピファイの創業者でもあるトビー・リュトケ(Tobi Lutke)最高経営責任者(CEO)は2020年5月、アナリストと投資家に向けた声明でこう語った。「私たちの目標は、ショッピファイの存在によって、より多くの起業家や小規模事業者がこの危機を切り抜けられるようにすることだ」

フォーブスの予測:小売業者は今後、オンライン広告枠を「買う」のではなく「販売する」ようになっていくだろう


グーグルとフェイスブックは気をつけたほうがいい。大手小売店のウォルマートやターゲット、家電量販店ベストバイなどの小売業者が、オンライン広告業界のシェアを奪おうとしている。小売業者による自社サイトの広告枠販売がどんどん増えているのだ。たとえば、ウォルマートのオンラインショップ「Walmart.com」にアクセスして掃除機を検索すると、アイロボット製ロボット掃除機ルンバの広告が表示されるかもしれない。

フォーブスが選ぶ「小売業界パーソン・オブ・ザ・イヤー」はオーロラ・ジェームズ


2020年5月、黒人男性ジョージ・フロイドが白人警官による暴力で死亡したのを受け、36歳のカナダ人ファッションデザイナー、オーロラ・ジェームズ(Aurora James)は小売業者に対し、勇敢にこう呼びかけた。売り場面積の15%を黒人所有ビジネスの製品に提供すれば、黒人が人口に占める15%という割合を、適切に表現できるのではないか、と。

これまでに、大手百貨店メイシーズや、コスメ専門店セフォラ、インテリアショップのウェスト・エルム、アパレルのメイドウェル、ドレスレンタルショップのレント・ザ・ランウェイなどがジェームズの呼びかけに応じている。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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