米政財界、トランプ大統領の「罷免」を要請

Photo by Alex Wong/by Getty Images

米連邦議会が大統領選の投票結果を認定し、ジョー・バイデン前副大統領の勝利を正式に確定するための上下両院合同会議を開いた1月6日、その手続きを阻止しようと、議会議事堂に多数のトランプ支持者が乱入。一部が暴徒化した。

これを受け、米政財界はマイク・ペンス副大統領と閣僚たちに対し、前例のない行動を取るよう要請している。

国内最大規模の業界団体である全米製造業協会(NAM)のジェイ・ティモンズ会長は発表文で、(議場から避難した)ペンス副大統領は「民主主義を維持するために閣僚らと協力し、修正第25条の発動を真剣に検討すべだ」と主張。

共和党上院選挙対策委員会の事務局長も務めた(2002〜04年)ティモンズはさらに、次のようにも述べている。

「うんざりするようなこの一連の出来事を通して、トランプ大統領は自らの所属政党のメンバーの支援を得て、激しい怒りを燃え上がらせることにつながる不信感をあおってきた…これは暴民政治だ。危険だ。これは扇動であり、そのように扱われるべきだ」

前会期で引退した共和党のデンバー・リグルマン元議員(バージニア州)をはじめ、共和党議員の一部からも、合衆国憲法修正第25条に従い、大統領の罷免に向けた準備を始めるべきだと訴える声があがっている。

共和党所属でバーモント州知事のフィル・スコットは、トランプは「辞任すべきだ。さもなければ、閣僚らによって罷免されるべきだ」と主張。18年にわたって上院議員(共和党、メイン州選出)を務めたウィリアム・コーエン元国防長官もまた、トランプはもはや、「米国のために働くことができなくなっている」と発言。閣僚たちは修正第25条を適用すべきとの見解を明らかにした。

そのほかテッド・リュウ(カリフォルニア州)、チャーリー・クリスト(フロリダ州)など民主党の下院議員らも、同様の考えを示している。

一方、トランプは6日、議会が大統領選の結果を認定するための手続きを開始すると、ツイッターでペンスを厳しく非難。「すべきであったことを実行する勇気がなかった」とコメントした。

憲法修正第25条とは


合衆国憲法修正第25条は、副大統領と閣僚、または議会が承認した別の機関は、「大統領がその職務の権限と義務を遂行することができない」との判断を下すことができると規定している。ただし、現在のような状況がこの規定を適用すべきものかどうかについては、法的な面で問題があるとされている。

編集=木内涼子

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