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オープンイノベーション、デジタルトランスフォーメーション(DX)、サブスクリプション……この数年でみると、こうした用語がビジネスのトレンドとしてもてはやされ、多くの企業がそれらに適応すべく奔走している。

こうしたトレンドに乗らないでいることは、一見“時代遅れ”で、停滞しているかのようにも映りがちだ。しかし経営学者で一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻教授の楠木建氏の見方は逆で、「トレンドは、経営における戦略的意思決定の“敵”である」と言う。

トレンドやブームなどの大きな流れに乗り、他社と同じ物差しで「ベター」を目指すのでなく、ときに、それらに「乗らない」と決めることこそが優れた戦略であると語る同氏に、競争を勝ち抜くために必要な視点とその磨き方を聞いた。



戦略とは「何をしないか」を決めること


企業経営において、戦略のゴールは「長期利益」、つまり長く儲かり続ける状態をつくることです。しかし、市場には競争があり、それは簡単なことではありません。

そこで戦略が求められるわけですが、端的に戦略とは何か。それは、競争相手に対して“違い”をつくること。違いがあるからこそ、消費者に選ばれるからです。

ではその違いとはどうつくるのか、方法は2つあります。1つは「ベター」を目指すこと。何らかの物差し上で、より早い、より品質がいい、より品揃えが豊富……といった違いです。もう1つは「ディファレント」、他とは異なること、つまり物差しがない違いを生むことです。人間で例えると、前者は「私はあなたより身長が高い」、後者は「あなたは男で私は女」となります。

いずれでも違いをつくることができますが、ベターのほうには2つ問題点があります。1つは、物差しが見えた途端にイタチごっこになること。「より軽く、より薄く」と競い合いになり、長期利益を生む違いを求めるはずが、その賞味期限は短くなります。2つ目は、ベターには終わりがあることです。薄さも軽さも0以下になることはないし、配達をいくら迅速にしても、注文前に届けることは不可能です。

ベターが悪いわけではないですが、戦略において重要なのは、その前に「ディファレント」をはっきりさせることです。その際に必要なのは、「何をしようか」という意思決定ではありません。「何をしないか」を決めることなのです。

編集=鈴木奈央

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