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2021.01.07 07:30

リアルで会う、をやめたマッチングアプリは出会いの価値を再定義する

出会いの場は飲食店、という以外にリアルでは会わないという選択肢を用意したDine/Photo by Sutterstock.com

出会いの場は飲食店、という以外にリアルでは会わないという選択肢を用意したDine/Photo by Sutterstock.com

マッチングアプリの中でも、サービスの独自性と安全性で注目される「Dine」。飲食店という公共の場で出会うというその仕組みは支持され、提携店舗は東京で250店を超え、カジュアルな店から高級店までを網羅。ユーザーは提携している飲食店でなければ出会うことはできないため、安心の土台となっていることがアプリ利用機会・人数の増加につながっている。

また、Dineがユニークなのは、通常のマッチングアプリで必須となっているメッセージのやりとりを極限まで簡略化したこと。「出会いの、最短距離。」をタグラインとし、デートの日程調整から飲食店予約までが自動化されている。

こうした独自の視点と新しい仕組みは、どんな狙いから生まれたのか。そして、対面が難しくなったコロナ禍において、Dineはどのような施策を打ってきたのか。CEOである上條景介に詳しく話を聞くと、彼の強いこだわりとそれを捨てることを自覚した彼自身の変化が見えてきた。

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「飲食店での出会い」は安全性を担保するため


──上條さんは、なぜ起業するときマッチングアプリを選んだのでしょうか。

人との出会いが、人生を変える一番のきっかけだと思っているからです。「人との出会いは化学反応」とよく言っているのですが、何かが起こる。「この人に出会えたから人生がこう変わった」というのは、誰しもが持つ経験だと思うんです。

マッチングアプリが「出会い系」と呼ばれていた時代は、危険性も会う難易度も高かったですが、近年は安心・安全をテーマにしたマッチングアプリが次々に登場し、市場もどんどん大きくなってきています。そうなると、安心・安全であることは当たり前となり、次のペインポイントは「面倒」という性質がポイントになってきます。何十回もメッセージのやりとりをしても、その人の本当の魅力は伝わらないと思いますので、Dineではむしろ「合理性」と「安全性」を重視したサービス設計をしています。

上條氏の写真上條景介|Mrk&Co. CEO 東京農工大学を卒業後、DeNAに入社。社内の新規事業立案コンテストで優勝して社長室に配属され、ソーシャルゲーム事業の立ち上げに参加。同社初のソーシャルゲーム「海賊トレジャー」をリリースしたのち、カナダスタジオ立ち上げを任される。2015年にDeNAを退職し、社会的ブームとなった「怪盗ロワイヤル」の開発を手がけた森岡崇とともに起業したMrk & Coでは、サードウェーブ(第3世代)のマッチングアプリ「Dine(ダイン)」を米国およびカナダでリリース。App Storeの「Best New Apps」に選出され、2017年には日本への「逆輸入」を果たした。

──健全なイメージが生まれつつも、まだまだマッチングアプリにネガティブな感覚を持っている人もいると思います。Dineが重視する「安全性」は、そうした不安をどうやって払拭しているのでしょうか。

主なネガティブ要因は犯罪に関係することですが、これはマッチングアプリを運営する企業側の努力で未然に防げると考えています。なぜなら、事件はほとんど全てが車や家、ホテルといった「密室」で起きる。ならば、出会いの場に必ず第三者の目が届く状態にすればいい。Dineが必ず飲食店で出会う仕組みにしているのはそのためです。飲食店とは全て提携しているので、スタッフの方々も「あの人たちはDineのお客さん」だと理解していますから安全性が担保できます。実際、Dineはリリースしてから4年以上が経過しましたが、警察からの捜査照会は1件も発生していません。

当然、監視体制や通報体制も十分に整えています。これに関しては、第三者機関による認証制度(NPO法人結婚相手紹介サービス業認証機構による「インターネット型結婚相手紹介サービス業認証制度」)が2021年春からスタートする予定で、Dineも認証手続きを進めています。
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文=高橋秀和 編集=坂元耕二

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