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秋になり気温が下がるとともに、休暇が終わり新学期がはじまるなど、人の動きが活発になり、新規陽性者はゆっくりと増え始めた。そして、11月には新規陽性者が指数関数的に増加し始めるとともに入院患者数もじわじわと増えてきたため、医療現場でも、再度、新型コロナウイルス診療への医療資源のシフトを迫られた。

第一波より早い段階で入院


第一波での経験により、診断や治療のノウハウが蓄積されたこともあり、感染者は第一波より早い段階で入院するようになった。結果として、通常病棟に入院する中等症の患者が増え、ICUへ入院する重症の患者は割合として低くなっている。

また、ICUでは早期の挿管を避け、治療期間も第一波の半分となったことは特筆すべきことである。日本人と比べ欧米人は血栓を形成しやすいため、入院と同時に低分子ヘパリン治療を始め、炎症反応が増悪傾向にある患者にはステロイド内服をさせ、細菌性感染の合併が疑われる場合は抗生剤を併用するのが標準治療である。重症化が懸念される患者には抗ウイルス剤を投与する場合もある。

第一波と同様、現在、通常診療はかなり縮小されている。私が所属する外科部門では、手術室から麻酔科医、麻酔科専門看護師がICU診療へ配置換えとなったため、待機手術の件数はおよそ通常時の3分の1となっている。待つことのできない癌の手術や、他の病院ではできない高難度の手術などに優先順位をつけて待機手術の件数を絞っている。同時に、緊急手術は通常通りであるため、医療資源はギリギリの状態である。

第一波よりも厳しい状況と言える点は、第一波により既に通常診療に遅延が出ているため、これ以上の遅延はできる限り出したくないこと、また、第一波でICU診療に携わったスタッフの疲弊が激しく、第一波と同じレベルまでICUのベッド数を増やせないことなどが挙げられる。

国民の動揺はあまり見られないが、逆に、第一波ほどの緊張感がないのが問題だ。第一波の経験により、ノンリスクグループにはあまり怖くないウイルスだという認識が広まったため、ノンリスクグループは全く自粛をせず、中には、クリスマスや新年の休暇には心置きなくイベントを楽しめるよう、休暇前に積極的に感染を済ませておきたいと考えた若者もおり、若い世代を中心に感染が拡大している(図9)。

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図9:「週毎年齢別新規陽性者数」公衆衛生庁より。

第一波では、介護の必要な高齢者を守ることができず多くの犠牲者を出したが、その経験を反省し、介護施設でのPPEの使用を徹底させることや、抗原検査を用いてスタッフをスクリーニングし、感染者を素早く自宅待機にさせるなどの対応がされているが、それでも、介護施設での感染を防ぐことは難しく、施設での感染者も多く出ている。死亡者も増加しているが、第一波と同様に死亡者のほとんどが高齢者である。

文=宮川絢子 編集=石井節子

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