CMで女優に見惚れ、出演ドラマをチェックする。新作漫画を発売日に購入する。アーティストのライブに足繁く通う。では、会社のファンになったことは?
コスモスイニシアは、ある特殊な部署をつくった。「コスモスイニシアのファンをつくること」をミッションにした、ソリューション本部カスタマーリレーション部だ。
本記事では、同本部の中でも“異質”のプロデューサー・金丸晃子に取材。顧客主義を徹底するための大胆な仕組み、そして「縦横無尽」と称される彼女の仕事ぶりに迫った。
顧客目線のプロフェッショナルが少数精鋭で集結
はじまりは、2019年。「コスモスイニシアのファンとも呼べる顧客をこれまで以上に増やすこと」という任務のもと、カスタマーリレーション部は誕生した。
立ち上げにあたり、集められたのは4人。「顧客目線に立てる」と評価された高いコンサルティング能力とホスピタリティを持ち合わせているプロフェッショナルたち。40〜50代のベテランで、顧客のあらゆるニーズに応えるため不動産の網羅的な知識や経験を併せもつ。
まず彼らは、無料会員制のコンサルティングサービス「不動産健康診断サービス」から問い合わせのある新規顧客や、すでにお付き合いのある顧客の不動産の相談に乗っていく。
顧客目線のプロが集結した部、その特徴は大きく二つだ。
ひとつは、どの他部署にも肩入れしない中立的なポジションだということ。
「もし一棟不動産の売買仲介をする部署に属していたら、所有不動産の空室対策や修繕の相談には対応する時間がないかもしれません。また売買にも賃貸にも興味はないけど、レンタルオフィスに興味のあるお客さまもいらっしゃったりします。中立であることによって、あらゆるお客さまのニーズに寄り添えるんです」
そしてもうひとつの特徴、それは数字目標が存在しないこと。
「徹底的にお客さま目線で提案すればいいのですから、こんなに楽しいことはありません。同時に、数字目標がない分、『徹底的なコンサルティング』に集中させてもらっているんだと思ってます。それが許されている私は『数字目標を背負う営業のみんなにも認めてもらえるクオリティの仕事をできているかな』と常に自問自答しながら、ヒリヒリとした緊張感も持ち、お客さまと日々接しています」
主な顧客は地主、投資家、企業が所有する不動産の管理担当者。カスタマーリレーション部は大きく二つの目標に邁進している。
ひとつは、顧客のニーズを明らかにすること。もうひとつは、顧客と継続的にやり取りできる信頼関係を築くことだ。金丸は心底嬉しそうに、目標が実現される瞬間を語ってくれた。
「お客さまから継続的に相談を受けて、プライベートな相談をしていただけるようになったり、『金丸さんがいるからコスモスイニシアとやり取りしたい』という有難いお言葉をいただくと、信頼を築けているのかなと思います。そのときは本当に嬉しいですね」

「当たり前のように仕事を越境する」という、コスモスイニシアの精神
カスタマーリレーション部は、コスモスイニシアの特異な精神性を体現する。それは「顧客のためなら、当たり前のように仕事を越境する」精神だ。
2016年、カスタマーリレーション部の前身の部署にいた金丸は、ある小売業の顧客から相談を受けた。担当者は気まずそうに、「コスモスイニシアさんの新しい分譲マンションの近くに、うちの新店舗がオープンしてさ。マンションに店のチラシを投函させてもらえないかな?」と言った。
通常なら「担当部署に確認します」といったん持ち帰るかもしれないが、金丸はこう即答する。
「マンションの鍵のお引き渡し時に、当社のスタッフからお客さまにご案内しましょうか。投函したチラシはゴミ扱いされますが、当社から渡せば立派な案内になります」
分譲マンションの入居者にとっても街の新しい一面を知るきっかけになる。一方で効果を測定するために商品券を作ってもらい、それをセットで渡す。金丸は自身の仕事を越境する取組を会社に交渉することを決めた。
金丸は担当部署にこの取組を持ちかけた。その部署にとっても業務範囲外だったが、相談を受けた同僚もマネージャーもこう反応した。「大事な取引先さまのためにも、入居者さまのためにもなるんでしょ?ぜひやろうよ」
取組みが実行されると、取引先にも入居者にも好評だった。その取引先の会員登録率はチラシ投函では通常5%くらいだったが、コスモスイニシアが手渡しすると登録率は20〜25%になり、店舗の売上も伸びたのだ。
この成功をきっかけに、取引先には、マンションデベロッパーと協力して営業するための事業部さえできた。
「お取引先の本業の収入補完を目的とした不動産取引においてお役にたてたことは多々ありますが、このケースのように本業そのものに貢献できたのは初めての経験で。お客さまが幸せになるなら、部署の垣根はどんどん超えていきたいですね。それでこそ総合デベロッパーである当社の強みが最大限発揮されると思っています」
「縦横無尽」と称される仕事の原点は、倒産の危機
金丸の仕事ぶりは異質で、「縦横無尽」と称される。顧客のニーズに応えるために、社内外のあらゆる人物とリレーションを取っていくからだ。
例えば所有物件の修繕で悩んでいる顧客がいれば、その物件に合いそうな建築技術を持った建築士と引き合わせをする。ある時は資産管理会社の代替わりしたばかりの若社長に優秀な金融機関の営業担当をご紹介するなど、枚挙にいとまが無い。
しかも紹介するのは、金丸が素の人間性も知った上で、全幅の信頼を寄せている人ばかり。「会社をもし辞めたら、お見合いバスツアーの主催者になりたい」と金丸は笑う。
見事なマッチングは超大型取引にも繋がり、2017年には不動産取扱高で合計約69億円の取引に貢献。その年度、金丸は社長賞を受賞した。
金丸が徹底した顧客目線に立つようになったきっかけがある。2009年、コスモスイニシアがリーマンショックによって経営再建を余儀なくされ、債権者との合意による再生プランを実行した直後だ。
当時金丸が新築マンションの入居手続会のスタッフをしていたとき、契約者から痛烈な質問を受けた。
「このままお宅のマンション買って、俺が幸せになると思っているの?」
債権者との合意による再生は開示情報のため、コスモスイニシアが倒産の瀬戸際を彷徨っていることは、顧客も理解していた。
一方金丸は、大苦境の最中、建築担当が連日遅くまでマンションの竣工検査の対応を行い、よりよい建物を作り上げていく姿を目の当たりにしていた。金丸は怯むどころか、正面切って熱い思いを伝えた。
「当社は建物と、お客さまに対して本当に真摯に向き合っています。不動産業界になくてはならない会社なんです。本気でそう思って従業員一同頑張っていますので、どうぞご安心ください」
その契約者は驚きながらも、「従業員がそう言える会社って珍しいね」と感心して、そのままマンションの引き渡しまで進めることができたのだ。
「お客さまに言い切ってしまった以上、『会社を繁栄させていかなきゃいけない』責任を今も強く感じています。私は地道に信頼を培うことがコスモスイニシアのブランドになると信じているんです」

“それぞれの王道”を尊重する
入社20年目を迎える金丸は、これからも顧客目線を追求する。
「管理職には興味が持てなくて。いつまでもお客さまの役に立ち、会社のファンを作り貢献していくことを極めていきたいんです。
高額な商品を取り扱う不動産業界には、騙し・騙されるようなイメージが未だあるのでは、と思います。そんな暗くて怖いイメージを変えたい。『こんないい会社を知らないと損だよ』という気持ちで日々働いています。私はコスモスイニシアという会社を営業する営業パーソンでもありますから」
社長の髙智は、金丸の仕事ぶりをみてこう言ったという。「金丸さんは、その縦横無尽さで、ずっとそのまま頑張ってくださいね」
なぜ、コスモスイニシアが予想以上の喜びを顧客に提供できるのか、髙智の一言に理由が詰まっていると感じる。
顧客の喜びにつながるなら、たとえ会社にとってイレギュラーな行動でも容認する。むしろ、伸び伸びと動ける環境を提供する。他の部署の従業員も、顧客のためなら、自分の枠をはみ出す仕事も当然のように対応する。
今後も徹底した顧客目線の仕組みはアップデートされ、“それぞれの王道”を歩むプロフェショナル達が躍動する。コスモスイニシアのファンが増えていくのは、もはや必然だろう。
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