サロン・デュ・ショコラ開催、カカオの可能性に挑むショコラティエたち

「パレ ド オール」の逸品

昨秋のパリでは開催されなかったサロン・デュ・ショコラが、1月21日から東京で開催される。今年は日程をパート1、パート2の2部制に分け、事前予約制で人数を制限するなど、万全のコロナ対策も実施される。

会場は伊勢丹新宿店本館6階となり、例年より小規模にはなるが、オンラインでの販売を拡充。発送が可能なものは基本的にオンラインで購入することができる。

1月21日〜25日のパート1は「Taste of Cacao」がテーマ。カカオ豆にこだわったタブレット(Bar)を作るビーントゥーバーをはじめ、カカオ豆からボンボンショコラまでを一貫して作るビーントゥボンボンなど、カカオの味わいを生かしたクリエーションの可能性を提案する。1月28日〜2月3日のパート2は「The Artisans」のテーマで、職人技に焦点があてられる。

主催する三越伊勢丹の真野重雄バイヤーは、コロナで国境間の移動が難しい時代だからこそ、チョコレートで「旅」を感じて欲しいと話す。

例えば、毎年サロン・デュ・ショコラ限定で用意されるセレクションボックス「テロワール(大地とのつながり)」では、日本、フランス、オランダ、ロシアの4カ国12人のショコラティエによるチョコレートがアソートされ、一度に世界の味を楽しむことができる。


12人のショコラティエの作品を詰めた「テロワール」6480円。今年は、全3種類のセレクションボックスが販売される

意識高い消費者の心をくすぐるチョコレート


今回ランナップされるチョコレートブランドは約120。今年新しく加わったブランドには、SDGsに関する提案をしているものも多い。

主催する三越伊勢丹バイヤー 真野重雄氏は、「例えば、コスタリカは環境やリサイクルに対する意識の高い国。コスタリカ人オーナーが生み出すオーガニックチョコレートブランド『Sibu』は、パッケージにカカオ豆の殻を使った紙を使っています」と説明する。



また、オランダの「Original Beans」は、チョコレートを1枚購入すると、産地にカカオまたはシェードツリーを1本植樹するという活動を行っている。未来を見据えた消費が注目を集める中、こういった取り組みも注目を集めそうだ。

チョコレートマニアの心を掴みそうなのが、「豆の乾燥時間」による比較ができるビーントゥーバーのタブレット。北イタリアのブランド「Karuna Chocolate」やデンマークの「Friis-Holm」などが乾燥時間違いのものを出している。


Karuna Chocolateのタブレット。左は「Fast dried」右は「Slow dried」とある

真野氏は、「こうした違いに触れることで、チョコレートはカカオポッドの収穫から始まり、発酵や乾燥、焙煎など様々なプロセスを必要とする食品であるということを、広く知ってもらえるのでは」と期待している。また「今の消費者は、食品の川上にさかのぼってルーツを知りたい人が多いように思う。安心安全、信頼につながるこれらの情報をしっかり伝えていきたい」という。

甘いだけではないチョコレートを使ったユニークなフードも並ぶ。テイクアウトでは、フランス・ストラスブールに店舗を構える「エリタージュ」のアーノード・スタンジェル氏と、和歌山県の湯浅醤油が4年の年月をかけて共同開発した「カカオ醤」を塗った焼きおにぎり、ペルーでカカオ生産者を支援する太田哲雄氏の監修による、カカオマスでマリネした信州サーモンを使った「カカオ寿司」も登場予定だ。
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文=仲山今日子

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