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2021.01.09 11:30

サロン・デュ・ショコラ開催、カカオの可能性に挑むショコラティエたち

「パレ ド オール」の逸品


美食の街、フランス・リヨンで古くから親しまれる名門「ベルナシオン」で修業し、全国に4店を展開する「パレ ド オール」の三枝俊介シェフは、世界的にも珍しい、カカオ豆からホワイトチョコレートまで作るショコラティエだ。2019年はパリのサロン・デュ・ショコラに招聘されてセミナーを行うなど、その活動は世界の注目を集めている。
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カカオ豆を細かく砕いて砂糖を加えたものが通常の茶色いチョコレートだが、ホワイトチョコレートは細かく砕いた状態から高温・高圧をかけて、カカオバターと呼ばれる油分のみを抽出して生み出される。大阪と東京・青山の店舗にカカオバター搾る専用の機械があるが、「高級車一台」買えるぐらいの特注品という。


青山の店舗では、ホワイトチョコレート作りの工程をガラス越しに見ることができる

そんな費用をかけてまで自らカカオバターを作る理由は、「6年前からカカオ豆からのチョコレート作りを始め、製菓用のチョコレートを全て自社生産するようになったのに、ホワイトチョコレートだけは購入していたことに違和感を感じたから」だったと三枝シェフ。
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メキシコやアトリニダード・トバゴ、ベリーズなどのカカオ生産地を訪ね、豆をつぶさに見てきたショコラティエとしての確信もあった。高級チョコレートの場合、香りや味を生かすため、カカオ豆は発酵の過程を経るが、ホワイトチョコレートの場合、発酵せずにただ乾燥させただけのカカオ豆を使うことも多く、雑味を取り除くためアルカリ処理される。しかし、発酵を経たカカオ豆を使えば個性が生きたホワイトチョコレートが生まれるはずだ、と考えた。

ホワイトチョコレートの可能性をもっと知ってもらいたい、と2019年10月に青山にオープンした店舗は「ショコラティエ パレ ド オール ブラン」と名付け、ホワイトチョコレートを主役にした店にした。その質は世界的にも認められ、昨秋にインターナショナルチョコレートアワード2020アジアパシフィック大会に出品した「タブレット テロワール ブラン」は、ゴールド、シルバー、ブロンズと全ての賞を総なめにした。


「タブレット テロワールブラン」は1月21日〜のパート1に、ボンボンショコラなどはパート2にも出品される

「ホワイトチョコレートを自家製するというのは、決して先進的なことではないのに、手間がかかるためほとんどの人がやってこなかった。これを行ったことで、副産物として、幅広い味わいのココアが手に入ったりと、次なる創作のヒントも得ることができた。ホワイトチョコレートひとつ取っても、こんなに新しい可能性がある。40年以上この仕事をしてきているが、チョコレートの『欠けているピース』はまだたくさんあるはず」と三枝シェフは語る。

ビーントゥーバーから始まったシングルオリジンカカオのムーブメント、新時代のチョコレート作りから目が離せない。

文=仲山今日子

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