2020年にスキャンダルに見舞われたビリオネア7人

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ジャック・マー──アリババ創業者が中国政府の標的に?


中国の金融規制当局は昨年11月、電子商取引のアリババ傘下のフィンテック企業、アント・グループが予定していた香港と上海での新規株式公開(IPO)を延期に追い込んだ。

ブルームバーグによると、上海証券取引所はIPOの中止について、規制環境の「大幅な変化」を理由に挙げているものの、詳細に関する説明はほとんどされていない。アントは上海と香港を合わせて、過去最大の規模となる約350億ドルの調達を目指していた。

中国政府がこの決定を下す1週間ほど前、マーは上海で開かれた会議に出席。その場で「中国の金融規制がイノベーションを阻んでいる」と批判していた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、「習近平国家主席がこの批判に対する返報として、IPOを中止させるよう自ら命じた」と伝えている。

同国の規制当局は12月下旬、独占禁止法に違反した疑いがあるとして、アリババに対する調査を行うと発表した。同国政府は、テクノロジー企業が成長し、より大きな力を持つようになることを阻止したい考えだとされている。

独ワイヤーカードCEO──不正会計で逮捕


独オンライン決済サービスのワイヤーカードは昨年6月、およそ20億ドルの現金の行方が不明になっていることを公表した。これを受けて同社の株価は急落。マークス・ブラウン最高経営責任者(CEO)が辞任した。

ブラウンは同月、投資家から高評価を受けるために売上高を水増ししていたとして逮捕されたが、不正行為は働いていないと主張している。一方、同社はその後、この20億ドルはもともと保有していなかった可能性が高いことを認めた。

債券王ビル・グロス──騒音を巡るご近所トラブルで裁判沙汰に


グロスは昨年、高級リゾート地として知られるロサンゼルスのラグナビーチにある自宅で、夜間に大音量で音楽をかけながらパートナーとダンスをしているとして、隣人でチケット検索エンジンのファンスナップ(FanSnap)の共同創業者、マーク・トーフィクから訴えられた。

問題の発端は、グロスが敷地の境界近くに設置したデイル・チフーリのガラスの彫像と保護用のネットだとみられている。「自宅からの眺望を阻害している」とグロスに伝えたところ、夜間に大音量で音楽を流すようになったという。

裁判の結果、判事はグロスに対するハラスメント禁止命令を発した。だが、グロスはフォーブスの取材に対し、大音量にはしないものの、夜間に音楽をかけてパートナーと踊ることをやめるつもりはないとコメントしている。

編集=木内涼子

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