コロナに伴う会議疲れ、世界的な現象に ハーバード大調査結果

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・各人の事情を考慮する

コロナ流行下での生活や仕事の体験は人によってかなり異なることを念頭に置いておくことが重要だ。リモートワークによって自由を得たように感じ、成功のチャンスだと捉える人がいる一方で、仕事と家庭での責務のバランスが取れず苦労する人もいるだろう。あるいは、孤独感に悩まされる人も出てくるかもしれない。

苦戦し、圧倒されてしまっている従業員に対しては、こちらの期待値を調整してあげよう。サドゥンはリモートワーク中心のチームを率いるリーダーに対するアドバイスとして、「今の状況下では、従業員によって生産性に大きな違いが出てくることを理解しておかねばならない」としている。

・時間でなく成果を重視する

今回の調査結果によると、仕事中にも子どもの世話や家事に手を取られることで1日の平均就業時間は8.2%(約48分)も延びている。これが数週間、数カ月間続くことで、多くの貴重な時間が失われることになる。

従業員の時間が仕事に奪われることを防ぐには、成果主義のマネジメント方針を取ろう。部下が最も重要な仕事をきちんと終わらせられる限り、固定の就業日や就業時間という観念は捨てること。常にオンラインであり続け、どんな時も電話やビデオ通話に応じねばならないわけではないということを従業員に対して明確に示すべきだ。

・線引きをはっきりする

私生活と仕事の境界線の曖昧さや、仕事が夜や週末にまでずれこむことは、今に始まったことではない。こうなると、常に「オン」でなければならないという感覚が生まれ、フル充電ができなくなる。

解決策のひとつは、研究者レスリー・パーロウの言う「予測可能な休息」だ。彼女は著書『Sleeping With Your Smartphone: How to Break the 24/7 Habit and Change the Way You Work(スマホと共に寝る 四六時中の仕事習慣を捨て、働き方を変える方法)』の中で、ボストン・コンサルティング・グループなどの企業と実施した一連の実験について書いている。リーダーがチームメンバーに対し、週に一度、メールにも電話にも応じる必要がない完全にフリーな夜を与えたところ、従業員の士気とエンゲージメントが劇的に改善したという。

パーロウによる研究では、従業員にとってストレスなのは仕事にかかる時間の長さではなく、勤務時間が予測できないことであることが示された。部下に対して特定の時間帯は休息を取れることをはっきり示すことは、燃え尽き症候群や疲弊を防ぐ上で大いに役立つ。

マインドフルなコミュニケーションはしばらく前から、現代のビジネスリーダーにとって重要なスキルのひとつだった。以前からあったこの問題は、新型コロナウイルスの流行によりさらに複雑化した。この状況を、リーダーとして必要なスキルセットの幅を広げ、さらに深めるチャンスだと捉えることもできる。適切なコミュニケーションを適切な時に行い、介入すべきときと、一歩引いて見守るべきときを見極められるようにしよう。

編集=遠藤宗生

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