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2021.01.21

COEDOが成し遂げた華麗なる変容/変身〜尖ったスモールビジネスの投資価値〜#1

第3回「スモール・ジャイアンツアワード」グランプリに輝いた協同商事代表・朝霧重治

かつてない速さで変化する時代のなか、たしかな技術力と企業規模ゆえのフットワークの軽さで世界にインパクトを与え、躍進するスモール・ジャイアンツ。

スモール・ジャイアンツとは、創業10年以上、売上高100億円未満、従業員数500人以下の企業であり、規模こそ小さいが、未来を拓くユニークな取り組みやビジネスモデル、プロダクト、サービスを展開している。 

Forbes JAPANは2017年より、そんなスモール・ジャイアンツに注目し、アワードを開催している。いっぽう、野村證券が運営する日本のミライを創造するビジネスパーソンのためのWEBマガジン「EL BORDE(エル・ボルデ)」は、今年度より本アワードに協賛。本連載「“変身”〜尖ったスモールビジネスの投資価値〜」では、これからの未来を担う若き読者に向けて、スモール・ジャイアンツが起こしてきた「変化」のストーリーを届けていく。

また、「変身」をテーマに大逆転・飛躍のための方策を考えていくオンラインでのスピンオフイベントも合わせて開催。参加登録、イベントの詳細は下記に記載している。

連載第1回目は、数多くの世界的ビールコンテストで受賞した「COEDO(コエド)ビール」を手がけ、2019-2020年「スモール・ジャイアンツアワード」グランプリに輝いた協同商事。かつて地ビールブームの終焉と共に窮地に陥った同社は、いまや世界25カ国でのビール市場展開を果たしている。協同商事代表・朝霧重治(あさぎり・しげはる)はグランプリ受賞について「地域との結びつきや取組が評価されたことが、何よりも嬉しい」と語る。

COEDOビールが掲げるブランドコンセプトは「Beer Beautiful」。「ビールは素晴らしいと伝えたい」という朝霧の言葉一つひとつに、彼の哲学が詰まっていた。変化を起こして突き進む、そのパワーの源を紐解いていこう。

Forbes JAPAN スモール・ジャイアンツアワード × EL BORDE スピンオフイベント開催


スモール・ジャイアンツアワード全国大会ではEL BORDE特別賞を選出し、2月4日にEL BORDE特別賞受賞者と、地方と中小企業を知り尽くした男、クラウドファンディングサービス「Makuake」の中山亮太郎氏をお招きしたスピンオフイベントを開催。

眼前の危機をチャンスに変えるための最重要ワード「変身」をテーマに大逆転・飛躍のための方策を探ります。

開催概要

日時|2021年2月4日15:00〜16:30
場所|Zoom Webinar
参加定員|100名
ゲスト|
◻︎中山亮太郎
なかやま・りょうたろう◎慶応義塾大学卒業。2006年にサイバーエージェント入社。ベトナムにベンチャーキャピタリストとして赴任、現地のネット系スタートアップへの投資を実行。2013年に株式会社マクアケ(設立当時の名称はサイバーエージェント・クラウドファンディング)を創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」をリリース。2019年12月には東証マザーズに株式を上場。過去のスモール・ジャイアンツにおいてアドバイザリーボードを務めるなど、地方と中小企業への造詣が深い。
◻︎EL BORDE特別賞受賞者(決勝大会にて受賞者決定)

司会進行|Forbes JAPAN Web編集長 谷本有香

※本イベントのお申し込み受付は終了いたしました。

職人の技を、再び取り戻す


規制緩和により日本全国に中小規模のビールメーカーがいくつも誕生した1996年、COEDOビールの前身となる「小江戸ブルワリー川越」も地ビールメーカーの一社として生まれた。しかし、製造業というよりも観光色が強かった当時の地ビールは、ブームが沈静すると共に衰退、「小江戸ブルワリー川越」も苦戦を余儀なくされた。朝霧は当時のことを「反省点は山ほどあります。ものを作る力、いわば基礎の“デッサン力”はあったものの、それをもってキャンバスに描く作業に迷走していました」と振り返る。

迷走するさなか、状況を打開する手本としたのはアメリカだった。人種や文化は違えど、人々の考え方や趣向は変わらない。異国で触れたクラフトマンシップの哲学やコミュニティへの愛情は、十分日本に通じるものだった。

朝霧は「脇に置かれてしまっていた職人の技を、もう一度取り戻す機会になると思いました」と、観光産業としての地ビールから、職人が造るクラフトビールへとポジショニングを転向。ユーザーの視点に立ちながら販売実験を行い、確証を得ていった。そしてクラフトビールブランド「COEDOビール」が誕生。プロダクトアウトの戦略で大きな成功を収め、新たなニーズを生み出した。新たなマーケットを開拓した大きな変化を、朝霧はこう語る。

「当時は利益が出ておらず、『変わろう』というより『変わらなくてはいけない』状況でした。企業がうまくいってないときの選択肢は、撤退するか、抜本的にやり直すか。私はビール事業に可能性を感じていたので、撤退は選びませんでした。それは自分たちが生き残る術ではなく、ビールそのものの面白さや、将来的に多様性を求めていく社会の方向性を感じたからです。向かっていく方向を修正するという意味での『変化』でした」

朝霧の軸はブレない。

「COEDOのブランドコンセプトは『Beer Beautiful』。『ビールは素晴らしい。ビールが素晴らしい』と、ビールの存在意義を再定義してビール本来の素晴らしさを皆さんに伝え、楽しんでいただくという大きな絵を描いて、進めていこうと思い至りました」

揺るぎない理念のもと「やらない選択」を選びとる


こうした変化を巻き起したスモール・ジャイアンツとしての原動力を尋ねると、「やらないことを決めること」だという。

「私たちのようなスモールな団体は、フットワークが軽い分やれることはたくさんあるんですけど、自分たちの実力や市場の変化を見極めながら『やらないことを決める』ことがすごく大事だと思っています。例えば地ビールにネガティブなイメージがついてしまったため、地ビールというカテゴリーから一旦離れたことも、こうして決めた『やらないこと』のひとつです。逆に大企業は、まずポートフォリオを組んで『あれをやろう、これをやろう』と『やること』を決めていきがちで、『やらない選択』をするのは難しいのではないでしょうか」

こうした「やらない選択」は、決して揺るがない企業の哲学・理念に裏打ちされている。そして今でも決定事項を下す際は、朝霧だけでなく社員一人ひとりが「Beer Beautiful」の理念へ何度も立ち返るという。

「社長の仕事として一番大事なのは、向かっていくビジョンや理由をしっかりと指し示すこと。ブランディングって、私の発言を多くの人に伝え、つながっていく『伝言ゲーム』だと思うんです。こうした取材の機会もすごく貴重です。外部の方々にお話ししているんですけど、私は同時に中の人たちにも話しているんです。メディアを通じて記事を読んでいただいて、理念をおさらいしてもらいたいと思っています」

 

今こそ、オンラインにトライ


しなやかに経営論を展開する朝霧だが、2020年世界を震撼させた新型コロナウイルスの流行には、大きな痛手を受けた。自社で飲食業を行なわない協同商事にとって、外食産業は製品の魅力を広める重要なパートナー。長年共に歩んできた飲食店は休業要請を受け、販売する場が一瞬にして消失。売上は半減し、業績は急降下した。そこでの朝霧の心配事は、何よりもビールを楽しんでくれるエンドユーザーのことだった。「エンドユーザーであるお客様たちが、さまざまな制約を受ける生活下でも、いかに楽しく過ごしていただくか」を指針に、オンライン販売に踏み切った。

「奇策はないので、本当にシンプルな話です。オンライン販売は難しい部分があり全くトライしていませんでしたが、だからこそ逆にポッカリ空いていたオンラインに可能性を感じながら、チャネル作りをしている最中です。もちろん企業規模が小さいが故に、一気に影響を受けてしまう厳しさもあります。ですが、企業の本質や向上心までは損なわれません。培ってきたものに磨きをかけていくか、提供方法を変えるか──新たな可能性を探っていければと思います」

苦境に立たされながらも「逆に私たちは運がいいと思います。昔からお付き合いしてくださる小売店さんがいますから」と、 “協同”の精神が感じられる朝霧。新たな未来を描く相手として、現在大企業との共同開発も進めているところだ。

本当の意味での地ビールへ原点回帰


信じるべき理念があるからこそ変化を恐れず、突き進んでいくスモール・ジャイアンツ、協同商事。今後の展望について「会社としてやりたいことと、私の関心が合致している」と「農業への参入」を挙げた。先代(岳父)の時代から取り組んできた有機農業は今や「オーガニック」という言葉と共に広く知られ、あたかも時代に後押しされた順風満帆な展望に見える。しかし「皆様に有機農業やオーガニックの意義や良さが全然伝わってないんじゃないか、伝え方を間違えてたんじゃないかと感じることがある」と語る朝霧の胸中には、かつての地ビールの苦い経験が蘇っているようだ。

「後継者不足などにより農家は確実に減ってきています。いま我々もアクションを起こし、農業の担い手になっていかなければいけない。協同商事としての個性を生かしながら目指すべきは、いかに農業とビール事業とを繋げていくか。ただビールを製造販売するだけじゃなく、改めてローカルな展開として、ホップや麦の生産から農業に関わっていきたいんです」

企業の農業参入というと機械が環境を制御する工場型の農業が多いが、「それでは、広大な畑の荒廃という我々が直面している問題の解決にならない」と強く語る朝霧。「人口減少した日本は、今後インバウンドに注力して経済を維持していくはず。私たちも農業を通して地元に貢献できたら、インバウンドにも様々な展開ができるでしょう」と冷静に局面を見つめている。彼が語るビジョンは一朝一夕で成し遂げられるものではなく、10年以上のスパンが必要になるだろう。だが「コロナで足踏みしているから、ちょうどいいんじゃないか」と話す軽やかさに、改めて圧倒されてしまった。

「かつて私たちは “地域性”を引き出しの奥にしまいこんで、大切な個性を全面に出せない不健全な状態でした。私たちは本当の意味での地ビールへ原点回帰をしていこうと考えています。クラフトビールといえばクラフトマンシップ。職人気質なものづくり、匠の世界を全面に出していきたい。地域から授かったものを、ローカルに還していきたいんです」

「私の世代では、食や農業から逸脱することはないと思うんですけど、この先この会社が何をしていくかは自由だと思う」と真っさらに未来を見つめている朝霧。最後に、他のスモール・ジャイアンツの同志たちへのメッセージをもらった。

「スモール・ジャイアンツとは規模の大小ではなく、経営者の意思や組織の個性が強く見えている企業を指していると思います。実際に、受賞やノミネートされている方々は、自分自身の意思を大切にしながら、新たな未来を切り開く活動している素晴らしい方や取組みばかり。次のスモール・ジャイアンツを目指す方は、自分がやりたい仕事やビジョンなどの意思をぜひ大事にしていただきたい。自分の意思を明確に掴むのは難しいと思いますが、自分の『いいな』という直感を大事にして、邁進してほしいですね」

朝霧重治(あさぎり・しげはる)
1973年、埼玉県川越市生まれ。一橋大学商学部卒。三菱重工業を経て98年に協同商事入社。2003年に副社長に就任し、当時どん底にあったビール事業を再生させた。09年に同社代表取締役社長に就任。

◆「大企業」や「中小企業」という規模のモノサシだけで、企業の真価は測れない。Forbes JAPANは、創業10年以上で売上高100億円未満ながら、私たちのライフスタイルを変えるようなユニークなプロダクトやサービスを生み出した企業に注目。2017年から発掘プロジェクトを推進している。未来を切り開く、日本が誇る小さな大企業──それこそが「スモール・ジャイアンツ」であり、今年度より野村證券が運営する日本のミライを創造するビジネスパーソンのためのWEBマガジン「EL BORDE」も協賛している。

第4回地方予選を勝ち抜いた精鋭達の熱き挑戦は2021年2月3日に配信を予定している。
(日程は変更になる可能性がございます。予めご了承ください)
あわせて、EL BORDE特別賞受賞者と、マクアケの中山亮太郎氏をお招きしたスピンオフイベントも2月4日に開催される。

※本イベントのお申し込み受付は終了いたしました。

Promoted by EL BORDE / text by 伊藤七ゑ /photographs by 佐々木康

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