コロナ禍で普及が進む「面接官のいない動画面接」

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オンライン面接では、ゲームをさせることもある。たとえば、ゲームで「偽物のお金」を稼がせて、応募者がどの程度までリスクに手を出すのかを見るのだ。面接で使われるオンラインゲームには、計画性や、結果から学びとる力といった実行機能スキルをテストするものや、選択的注意力(ほかのことがらに気をとられることなく達成すべきタスクに集中する力)をテストするものなどもある。また、認知的柔軟性を検査して、ルールや目標が変更されたときに思考過程を修正できるかどうかを判断するゲームもある。

こういった類いのテストやゲームを実施することと、無資格で心理テストを実施することは、紙一重の違いしかない。テストの結果を分析するのであれば、企業は、しかるべき資格を持った心理分析の専門家を、正社員として、あるいは契約社員として置かなければならない。

たとえば、応募者が注意欠陥・多動性障害(ADHD)を持つ場合は、選択的注意力テストではあまりよい成績をあげられないかもしれないが、ほかの職種では優れた力を発揮する可能性がある。こうしたテストやゲームを人材採用に活用している企業は、それらが採用予定の職種に適合するものであることに留意しつつ、テストの成績が面接の大半を占めないようにする必要がある。

動画面接をめぐる別の問題は、動画を確認する人物が必ずしも、最初から最後まで通して視聴するとは限らないことだ。たとえば、応募者にとって初めての動画面接だった場合、ネット接続がうまくいかなかったり、動画をうまく録画できなかったりといった問題があるかもしれない。また、冒頭はあまり出来がよくなくても、徐々に調子を上げていく人もいる。動画を確認する担当者が、全体のごく一部しか視聴しない場合、将来性のある候補者を見逃してしまうこともあるだろう。

リアルな面接が応募者にとって有益であるのは、そのなかで改善すべき点を話し合ったり、応募した仕事に対する熱意を伝えたり、あとで面接官にお礼の手紙を書いたりできるからだ。人によっては、ネットの接続状況がよくない人もいるかもしれない。しかし、こういったかたちで面接を行う場合、応募者は採用担当者の名前を知らないことが多い。

一番いいのは、一部だけでも人間と直接やりとりができるハイブリッド面接かもしれない。つまり、スクリーン上に面接官がいない状況で応募者が質問に答え、そのあとに面接官と接するやり方だ。このかたちなら、面接官を前にしたほうがうまくできる人であれ、逆に不安が増してしまう人であれ、さまざまな性格の誰もが実力を発揮できるはずだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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