米国の医療労働者の50%以上が「ワクチン拒否」の衝撃データ

Photo by Fiona Goodall/Getty Images

米国では、新型コロナウイルスの新規感染者や死者の数が急増しているにも関わらず、驚くほど多くの医療従事者たちが、ワクチンの接種を拒否している。オハイオ州知事のマイク・デワインは12月30日、ワクチンの優先接種の権利を与えられた介護施設の職員の約60%が、接種を拒否していると述べ、「これは困った状況だ」と話した。

ヒューストンのユナイテッド・メモリアル・メディカル・センターのジョセフ・ヴァロン博士は12月の公共ラジオNPRの取材に、彼の部門の看護師の半数以上が「ワクチンを接種しない意向だ」と話していた。

ニューヨーク市の消防士協会の会長も12月6日、NBCニュースの取材に「消防士の約55%がワクチンの接種を拒否している」と話した。

ロサンゼルス・タイムズは12月31日、カリフォルニア州リバーサイドの病院と郡の職員たちが、「現場作業員の推定50%がワクチンを拒否したことを受けて、未使用のワクチンをどのように配分するのが最善かを考える必要に迫られている」と報じた。

カリフォルニア州テハマ郡のセント・エリザベス・コミュニティ病院でも、ワクチン接種を希望する職員は全体の半数以下で、ロサンゼルス郡の現場作業員の約20%から40%が、ワクチン接種の機会を拒否したと報じられている。

シカゴのロレット病院のニキーラ・ジュヴァディ医師によると、12月に実施された調査で、病院職員の40%がワクチンを接種しないと回答したという。

カイザーファミリー財団(KFF)が12月15日に発表したデータによると、医療従事者の29%がワクチンを受けることをためらっており、その理由としては副作用に関する懸念と、政府への信頼の欠如が挙げられた。

黒人の間で顕著な「ワクチン懐疑論」


米国の医療現場の最前線で働く労働者は、黒人とヒスパニック系に偏っているが、新型コロナウイルスの死者に占める有色人種の割合は約65%に達している。 医学ジャーナルのランセットに夏に掲載された論文では、「有色人種の医療従事者は、白人に比べて2倍以上の確率でコロナウイルスの陽性反応を示した」とされていた。

ピュー研究所が12月に発表した世論調査データでは、ワクチンに対する懐疑論は黒人の間で最も高いことが示され、このセグメントにおいて「ワクチンを必ずもしくは、おそらく接種する」と回答した人々の割合は、43%未満だった。
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編集=上田裕資

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