豪華すぎる「ボルボXC60特別仕様車」は、ベートーベンの第九のような存在感

精悍な顔のX60。しかしこのクルマ、中身がすごい。


とにかく低回転からのレスポンスは力強いし高回転までトルクはグーンと伸びる。でも、4WDの優れたグリップもあり、オーリンズ製のダンパーが付いているから直進性は素晴らしくコーナーでも安定性は抜群。

もっと細かく説明すると、足まわりはPSE専用チューンが施され、フロントボンネットを開けるとストラットタワーバーが見えるだけでなく、アッパー側には22段階減衰力調整機構付きのオーリンズ製ダンパー、その金色のダイヤルが見える。そのおかげで、乗り心地は多少固めではあるけど、スポーツカーのサスペンションが好きな人はPSEのセッティングはたまらないはず。正直なところ、4WDでこれだけのパワーがあるので、少し元気にコーナーを攻めたいし、その時に多少アンダーステアが出るのはしようがない。




22段階で減衰力設定が変更できる

眩しい金色のブレーキも見ものだ。日本の曙ブレーキの6ピストン・キャリパーと巨大なドリルド(穴付き)ローターの制動力はスーパーカーの性能と変わらない。ペダルの剛性感がしっかりしているし、どの場面でもドライバーに自信を与える確かなフィーリングを高く評価する。



内装も外観と同様のさりげない上品さとデザイン性に乾杯。灰色の本革シートにクリーム色のステッチがあるけど、一番目立つのはその黄色いシートベルト。違和感を感じる人もいるだろうけど、僕はこのベルトはPSEの雰囲気に合っていると思うし、ブレーキの色にもマッチングしている。



インテリアで採用しているレザー、アルミ、ソフトな樹脂などは高級感が漂う。縦型の大型タッチスクリーンは操作しやすいけど、少し慣れが必要。



残念なのは、このSUVに関心を持ったとしても、実は買えないということ。日本には30台限定で発売されたそうだけど、発表されて数日経たないうちに、1024万円の同車は完売だったという。でも、他にもセダンのS60とワゴンのV60はXC60のPSEと同様のスペックを誇ることは頭に入れておきたい。こんなパワートレーンがもっと手頃な価格で作ることができたら、超人気が出ることは確かだね。

文=ピーター ライオン

ForbesBrandVoice

人気記事