彼女は、すさまじい挫折や苦悩にも直面してきた。実母が依存症だったため、幼いころに祖父母に引き取られて育った。そして、米国体操連盟の元チームドクターで服役中のラリー・ナサールから児童性的虐待を受けたサバイバーでもある。
バイルズは、マットの上だけでなく精神力でもチャンピオンになるべく、セラピーを熱心に受け、セルフケアも実践している。2020年12月9日に出席した「2020年フォーブス・ウィメンズ・サミット」では、フォーブスのエクゼクティブ・バイスプレジデントであるモイラ・フォーブスのインタビューに応じ、心の健康をどのようにして維持しているかを明かしてくれた。
バイルズが、自らの精神を健全に保つうえで心がけている5つの点を紹介していこう。
1. その日その日を精いっぱい生きる
「私はいつも自分にこう言い聞かせています。『1日1日をしっかり生きよう』と。おかげで、体操選手としても、ひとりの人間としても、健全でいることができます」。バイルズはそう述べた。2016年リオデジャネイロ五輪体操女子団体総合で金メダルを獲得してからの成長は、そうした姿勢があったからだという。
2. 目標を書き出す
毎年の年初めに、バイルズは母親と話し合い、短期と長期の目標を書き出している。その習慣があるから、目的を持って日々を生きることができるという。
「大きすぎる夢なんてありません。自分の目標を書き出してください。そうすれば、最終的な目標の全体像を見失うことはありません。そして、小さなパズルのピースをその全体像に当てはめるんです」とバイルズは述べる。「私はそうやって、何年にもわたって成績を残してきました。そう、私には最終的に目指す大きな目標がありますが、そこに至るには、小さなステップを積み重ねていく必要があります」