捨てるべきは「適応」。ストレスの時代に、自分本来の姿に戻るという解決策

ラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント・ジャパン 代表取締役 大西茂久

2020年は誰も予想のつかない厳しい年になったが、コロナ禍で増強されたストレスは、そもそも私たちが日々抱えていたものでもある。

マインドフルネスを企業や個人に提供するラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント・ジャパン」の大西茂久に、昨今注目されている瞑想、それによって私たちがストレスから解放されるのか、今、なにを捨てる=手放すべきかを聞いた。

 

──マインドフルネスという言葉自体は知られていますが、実践することによって何が得られるのでしょうか。

マインドフルネスは、とても多様な効能があって、例えばストレスに効くとか、モチベーションが上がるとか、そういう意味では少し捉えにくいかもしれません。でもひとつ確かに言えるのは、心のトレーニングであるということです。

筋力トレーニングを続ければ筋肉が維持できるように、瞑想のトレーニングを行えば穏やかさや明瞭さといった健やかな心が維持できます。マインドフルネス瞑想でやるのは、呼吸に注意を向け、意識を集中させ、気が散ったらまた呼吸に注意を戻す。このトレーニングをすることで、過去の後悔や将来の不安を考えようとする脳へかかる負荷を低減することができます。実際に脳の仕組みが変わることも科学的に証明されていて、例えば、不安や恐れを司る扁桃体という部分の密度が小さくなることがわかっています。

──マインドフルネスにも、いろいろな実践方法があると聞きました。

座る、立つ、歩く、横たわる、どんなやり方でも大丈夫です。要は、注意を呼吸にもっていき、集中を持続させることで脳の仕組みを変えることができるか否か。ただ寝そべるだけでは脳の仕組みを変えることはできないので、ここがポイントですね。

──貴社は、企業・団体向けに「マインドフルネス」の実践を行っていますが、率直に、受講する人たちはやはり疲れている方が多いのでしょうか?

疲れていますね。しかし第一声で「疲れている」とは皆さん言わない。言ったらダメな雰囲気があるのでしょうか。これは少し怖い状況です。その我慢の積み重ねが、燃え尽き症候群やうつにつながることさえあるからです。

自分の状態のことを言えないという心理的安全性の低い状態は多くの企業で見られ、組織・チーム内において、決定的なマイナスになっていると思います。もしかすると、日本の経済の停滞感の大きな要素かもしれません。
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文=坂元耕二 写真=西川節子

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