その顔触れは、インスタグラムで2000万人のフォロワーを誇る女優で歌手のサブリナ・カーペンターや、刑事司法データプラットフォーム「Recidiviz」の共同創設者で、服役データを集約・標準化して釈放を早め、受刑者数の減少に取り組むクレメンタイン・ジャコビー(Clementine Jacoby)などだ(ジャコビーはインスタグラムのアカウントすら持っていない)。
ドゥムブヤは撮影を振り返って、「素晴らしい体験でした」と語る。「有名人もいましたし、一般の人もいました。でも、相手が誰であろうが同じように接します」
ドゥムブヤは、ポートレートで独特の雰囲気を出すために、カメラのレンズにカラーフィルターを装着している。また、被写体に8台ものスタジオ用ライトを向けて、濃淡をつけた影を落とす。
フォーブスの撮影ディレクターで、ドゥムブヤに撮影を依頼したロビン・セルマン(Robyn Selman)は、「私たちは今年、孤立し、ばらばらに引き離され、抑圧されていました。でも、(ドゥムブヤがとらえた)これらのイメージには活気があります。ライブコンサートで感じるような活気です」と述べる。「そこから聞こえてくるのは、静かな声ではなく、叫び声です」
「30アンダー30リスト2021年版」に選出されたラッパー、ロディ・リッチを撮影するドゥムブヤ。(PHOTOS COURTESY OF MAMADI DOUMBOUYA)
ドゥムブヤのセルフポートレート。写真提供:ママディ・ドゥムブヤ(PHOTOS COURTESY OF MAMADI DOUMBOUYA)
ドゥムブヤは、高校の写真クラスで基本をマスターすると、芸術分野で大学進学を目指すニューヨークの恵まれない若者を支援するスクール「NYC Salt」の写真プログラムを受講した。結局、学士号は取得できなかったが、代わりにニューヨーク・タイムズ紙で仕事を得た。
きっかけは、『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』の撮影ディレクターで、Saltのゲスト講師を務めていたキャシー・ライアン(Kathy Ryan)が、ドゥムブヤの卒業作品にすっかり魅せられたことだ。その作品では、アフリカの民族衣装に身を包んだ複数の友人が、カラフルで荘厳な背景の前で泣いている。流れ落ちる涙が頬に、傷のような跡を残していた。
ライアンはドゥムブヤの卒業作品について、「何が素晴らしかったかというと、エモーショナルであると同時に、美しく演出されていたところです」と語った。「照明や、宝石のような鮮やかな色合いには、フォーマルなレベルで惹きつけられるものがありました」
ライアンは2017年、ある仕事でドゥムブヤを採用した。その仕事は、彼の生まれ故郷であるギニアの首都コナクリで撮影が行われたもので、おかげで彼は5年ぶりに帰郷を果たした。ライアンはその2年後に、ニューヨーク・タイムズ・マガジン誌のコラム「Talk」の初の公式写真家としてドゥムブヤを起用した。
1987年からニューヨーク・タイムズ紙で働いているライアンは、今でもドゥムブヤの作品に情熱を感じるという。「彼の作品はスマートフォンで映えるんです」とライアンは言う。「ある種の大胆さが感じられるのが素晴らしいのです。個性も感じられます」