実際のところ、幸福の基準はその人がどこに住んでいるかに関連している。例えば、最も単純な尺度である「笑顔」について考えてみると、どのような笑顔がより前向きに受け止められるのかに注目した過去の研究結果は、「東洋と西洋に大きな違いがあること」を示している。
幸せそうな笑顔だと認識されるのは、西洋文化圏では「口を大きく開け、歯を見せた」笑顔。一方、東洋の文化圏では、「口を閉じた、より穏やかな」笑顔だ。
曖昧で、特定するのが難しいとされることが多い「幸福」な感情を測定する方法は、これまでその大半が、西洋圏で開発されてき。問題は、西洋諸国には個人主義的な傾向があり、東洋の国々では、幸福感において他者とのつながりが重視されるということだ。
ジャーナル「プロス・ワン(PLOS ONE)に発表された論文の主著者であるカリフォルニア大学リバーサイド校・心理学科のグウェン・ガーディナーは東洋の各国の考え方について、次のように説明している。
「東アジアの世界観では、自己は他者とより密接に関連したものとみなされている。個人の幸福は、社会的関係のなかでの立場のつながりに依存している」
「道教、儒教といった東洋のイデオロギーは、個人の成果より調和やバランスを優先し、すべての人、すべてのものの相互関係を重視する」
テストの信頼度にある地域差
ガーディナーらが行った研究では、63カ国の大学生1万5000人以上を対象に、日本と米国で開発された2つの方法で幸福度の調査を行った。
研究チームによれば、両方のテストを受けてもらった結果、相互依存性と自立性を重視したそれぞれについて、開発された国により近い地域(日本のテストは東アジア、米国のテストは欧米)で、結果の信頼度が高いことが明らかになったという。
また、対象国すべてにおける信頼度では、米国で開発されたテストの方がわずかに高くなっていた。