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全員参加の「データ経営」、「年収100万円アップ」宣言


「この会社では、『深掘り』の人でないと社長にはなれない。自分の役割は専務として、今までの経験を駆使して会社に少し機動力を付けることだと思いました」

そう語る土屋氏がワークマンに来て最初に始めたのが、社員全員に対するエクセルを活用した「データ経営」の教育だ。

データ経営は、利益を計算するためではなく、考え方を軌道修正したり、チャレンジした結果を数字で検証したりするツールとして活用した。

この経営手法には、ワークマンが「余計なことを一切しない」、標準化の鬼だったことが大いに活かされている。ワークマンでは店舗面積、品揃えが標準化されていて、値引販売もしないので、データの精度が高い。そのため、「現場で改革した結果をデータで分析し、正しければそれを徐々に『マニュアル化して標準化』していく」という合理的な方法を採用することができた(この方法は、後に説明する「ワークマンプラス」の誕生にも活かされている)。

「社員たちは、意外にもこの『データ経営』というやり方を尊重してくれました。私は、これまで愚直に作業服だけをやってきた根気のよいワークマンの社員たちに、心から尊敬の念を抱いていた。そして、『この人たちならできる』と確信していました。そうした私の本気度が、社員たちに伝わったのかもしれません」

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違うタイプだからこそ、相手を心から尊敬する。そうすることで、いつしかお互いに尊敬し合い、ないものを補い合う良い関係を築くことができる、と土屋氏は言う。

社員の給与にもメスを入れた。土屋氏が入社した当時の社員の平均年収は580万円。これを聞き、「社員の能力に対して、給料があまりにも低すぎる」と感じたという土屋氏は、「先ずは5年で100万円ベースアップ(定期昇給分を除く)する」と社員に宣言した。

「もし5年で実現できなければ、社員に謝って、『7年で実現します』とまた宣言すればいい。『時間を味方に』する会社なので」

こうして土屋氏は、商社で培ってきたこれまでのスピード経営から、ワークマンでは頑張りすぎない、データ経営を活用した「時間を味方にする経営」にシフトした。

文=長谷川 寧々 編集=石井 節子

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